6・25参戦勇士に「英雄の制服」、一方では南侵の本質を曇らせる動き【6月26日付社説】

 6.25戦争(朝鮮戦争)休戦70周年を迎えて製作した「英雄の制服」を受け取った参戦勇士から感謝の手紙と電話が国家報勲部に殺到しているという。90代になった参戦勇士たちは「これから友人や知人たちに会う時、堂々と着たい」「目を閉じる時、死に装束の代わりに着たい」と喜び、「国が私たちを忘れていないことを感謝する」と口々に語った。逆説的にこれまで参戦勇士に対する関心と支援がどれほど足りなかったかをうかがわせる。

【写真】記念式に出席した6・25戦争の英雄たち

 先ごろ80代後半の参戦勇士が釜山市内のスーパーで生活苦から7回にわたりおかず計8万ウォン(約8770円)分を盗んで警察に逮捕された。極端なケースだが、実際に多くの参戦勇士が無料給食所を転々とするなど苦労して生活している。彼らが国家から受け取る参戦手当は月39万ウォンだ。これでも大幅に引き上げた結果だ。2010年までは10万ウォンに満たなかった。

 月200万ウォン以上の参戦手当を支給する外国の事例を挙げるまでもない。現役兵長の月給は100万ウォンで、2年後には200万ウォンに引き上げられる。政府は参戦手当を2027年までに50万ウォンに引き上げるというが、これが経済規模世界10位圏内の国家の水準に見合うかどうかは疑問だ。00年の民主化運動補償法制定後、4900人余りが受け取った補償金は1100億ウォンを超える。こうした不条理は、与野党を問わず、目の前の政治的利益のためにポピュリズム競争を繰り広げた結果だろう。

 生活苦よりも参戦勇士を落胆させるのは、社会全体の無関心と冷遇だ。参戦勇士に対する礼遇は、彼らの貢献をしっかりと記憶に留めることから始まる。ところが、前政権は真逆に行動した。北朝鮮の南侵事実をもみ消し、韓国の戦争英雄を貶める言動を日常的に行った。文在寅(ムン・ジェイン)政権の光復会長は6・25戦争の英雄、白善ヨプ(ペク・ソンヨプ)将軍の顕忠院への埋葬を阻止し、真実・和解のための過去史整理委員会の委員長は脱北した国軍捕虜の前で「中共軍捕虜の被害に関心を持っている」と発言した。文前大統領は戦没者を追悼する顕忠日(6月6日)に6・25戦争での南侵に功績があったとして北朝鮮で勲章まで受け取った金元鳳(キム・ウォンボン)を国軍のルーツかのように称賛した。参戦勇士を礼遇するどころか、見下したのだ。

 6・25戦争から73周年を迎えた25日、文前大統領は追悼メッセージの代わりに6・25戦争が米中の代理戦争だったと主張する本を紹介した。過去に左派運動勢力や学界が信奉していた「米ソ代理戦争」の考え方を連想させる。6・25戦争の南侵の本質は金日成(キム・イルソン)による赤化統一の野心だ。代理戦争を云々することからして、北朝鮮の責任を隠し縮小するものだ。民主党は北朝鮮と尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が韓半島の軍事的緊張感を高めており、双方とも誤っているというメッセージを発した。6・25戦争の本質を曇らせ歪曲(わいきょく)しようとする試みはまだ続いている。

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  • ▲6・25戦争参戦勇士らが25日、ソウル中区の奨忠体育館で開かれた6・25戦争73周年行事で、国家報勲部から支給された「英雄の制服」を着て、国旗に敬礼している。/聯合ニュース

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