世界を席巻する民主主義の失敗、韓国は安全なのか【コラム】

「全体主義に圧勝」すると誰もが信じた自由民主主義が負けている
「自然災害と核戦争と同じくらい民主主義の消滅が恐ろしい」

 韓国人たちが4月、劇的な脱出に成功すると、内戦に苦しむアフリカ・スーダンに対する韓国人の関心が冷めやった。しかし、遠い国の出来事だと高をくくる前に、スーダンの失敗を冷静に見つめ直してみる必要性がある。韓国が属している自由民主主義陣営が、今どれほど負け試合を演じているかを示す象徴的事件であるためだ。

 7カ国と国境を接するスーダンは、侵略・内戦・独裁などアフリカの低開発国の慢性的な問題に終始悩まされてきた。1990年代にはテロリストの本拠地として悪用され、米国のミサイル爆撃も受けた。そのようなスーダンの国民と軍部が2019年、30年間にわたって独裁を繰り広げてきたアル=バシールを追い出し、民主主義の道を選択した時、自由陣営は歓呼した。「民主主義クラブ」に久しぶりに新しい会員が合流するという朗報と考えたのだ。

 あれから4年、一度も選挙を行ったことのないスーダンの民主主義は、軍部による権力争奪戦がもたらした内戦とともに枯死した。米大使館の職員たちは内戦の兆しを感じるや、いち早くヘリコプターで脱出した。外交シンクタンクのウォルター・ミード氏はスーダンの問題に対する民主主義宗主国である米国の無能さを指摘し「この15年間、中東・アフリカで試みられてきた民主化はほぼ崩壊した。ハムスターが原子力潜水艦の建造に成功する確率の方が高いと思われる」とこれを皮肉った。

 最近、国際ニュースで取り上げられているキーワードは「民主主義の失敗」だ。一日も休むことなく関連ニュースが報じられている。ここ2カ月間で起きたニュースを取り上げてみた。2011年に「アラブの春」を開いたチュニジアでは、大統領が鉄拳統治に転じ、4月に野党代表を逮捕した。2010年に議会民主主義を採択したパキスタンでは、実力者の軍部が昨年首相辞任を主導したのに続き、先月結局彼を拘束した。一時「イスラム民主主義」の模範だったトルコ(テュルキエ)では「セルフ改憲」により選挙の規則を変更したエルドアン大統領が先月再選し、終身執権の道を固めた。ようやくのことで民主主義を勝ち取ったウクライナは、全体主義の代表国ロシアに領土が踏みにじられている。

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