半導体重要素材を戦略物資化する日本

 日本経済新聞は6月24日、日本の官民出資による投資ファンド、産業革新投資機構(JIC)が半導体素材メーカーのJSRを1兆円で買収すると報じた。JSRは最先端の半導体生産に使われるフォトレジストの分野で世界シェアが28%に達する世界最大手だ。国際的な競争力を備えた半導体素材産業を政府が直接育成し、戦略物資として活用する狙いがある。日経は日本政府が経済安全保障の観点で今回の買収を支持しているとし、日本は半導体素材から製造に連なるサプライチェーンを強化しようとしていると伝えた。

 東京証券市場でJSRの時価総額は現在約6700億円だ。それを3300億円も上回る価格で買収することになる。日経は「JICはJSRの潜在力と成長可能性を高く評価し、買収額を高く設定した。公開入札ではなく、異例の直接交渉を進めた」と指摘した。JICは今年、JSRの株式公開買い付けを終え、来年にも上場を廃止する計画だ。

 日本は米中対立が激しさを増す中で韓国や台湾より地政学的に安定している強みを掲げ、2021年から国家レベルの大規模な半導体復興戦略を推進している。1980-90年代の半導体覇権を取り戻す狙いだ。巨額の補助金でサムスン電子、TSMC、マイクロンなど世界的な半導体企業の工場と研究所を誘致し、トヨタ、ソニー、ソフトバンク、NTTなど日本を代表する企業8社が出資する先端半導体メーカー「ラピダス」も設立した。先端製造プロセスを開発するとともに、人材を拡充し、2027年までにサムスン電子やTSMC並みの半導体を生産することが目標だ。7月23日からは半導体重要設備・素材23品目を輸出する際、経済産業相の許可を義務付ける。 韓国科学技術院(KAIST)経営学部のチョ・デゴン教授は「JSR買収や輸出規制はいずれも半導体生態系のチョークポイント(戦略的に重要なポイント)である素材・設備を武器に世界のサプライチェーンを揺さぶる戦略だ。自国の強みをよく把握している」と評した。

朴淳燦(パク・スンチャン)記者

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