何も考えていない国民が暮らす「カブンゲ共和国」【朝鮮日報コラム】

脱原発、せき解体など政府省庁が先頭に立って「答えが決まっている」政策のためまい進
無能な専門家たちを集めて評価と指標を偽造、彼らは果たしてどんな国を夢見ていたのか

 先日行われた監査院の監査により産業部の脱原発強行に似た環境部による荒唐無稽な「せき解体」の決定過程が明らかになった。「われわれがせき設置以前の数値を書くことで、何も考えていない国民が聞いた時、『それは理解できる』と思うと思います」。「何も考えていない国民」の目さえ覆ってしまえばいいという四大河川の民官合同企画・専門委員会の驚くべき会議録発言に、改めて文在寅政権の国政目標は何だったのか、疑いを持たずにはいられなくなった。文元大統領は著書『大韓民国が問う』の中で「国家大改造、積弊清算で新しい大韓民国を建設するため切実な心を抱いている」と、国政に対する抱負を明らかにした。一体どんな新しい大韓民国を夢見たのだろうか。

 マックス・ウェーバーは、近代国家が合理的行動を取る上で必須の組織として専門化された官僚制を挙げた。大韓民国の成功史においても、国家発展のために身を投じ、信念を持って働いてきたエリート官僚と専門家の役割は欠かせない。しかし、文政権による国政運営では、専門化された官僚も客観的判断でバランスを取る専門家も、居場所がなかった。

 脱原発やせきの解体など、あらかじめ答えの決まっている政策に合った話をしてくれる無能な専門家と公務員を集め、挙手という役割だけを任せた暴力団さながらの国政運営だった。財政の番人である企画財政部を無力化させ、未来世代のための資産を盗む国の借金急増にも目をくれず、「蔵に穀物を積んでおいては腐る」という荒唐無稽な論理で借金し、金を供給した。統計粉飾に始まり、統計指標を変えることもためらわなかった。韓国の子どもたちは外国語高校に進学させ留学させ書類を偽造し、名門学閥をつくりながら、「上を見ないで、フナ、カエル、ザリガニとして生きたとしても幸せになれる小川にしよう」という「カブンゲ(カジェ〈ザリガニ〉、プンオ〈フナ〉、ケグリ〈カエル〉のそれぞれ頭文字を取ったもの)論」を主張する長官を看板として掲げた。一足遅れで明らかになった「何も考えていない国民」という発言まで一脈相通じる側面がある。「何も考えていない国民が暮らすカブンゲ共和国」への国家大改造は停止し、5年ぶりに立てられた「考えている国民」こそが大韓民国の奇跡だ。

姜京希(カン・ギョンヒ)論説委員

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 何も考えていない国民が暮らす「カブンゲ共和国」【朝鮮日報コラム】

right

あわせて読みたい