セマングム世界スカウトジャンボリー、隊員たちが開けた大韓民国の「パンドラの箱」【コラム】

「前政権・現政権のせい」は天に向かってツバを吐くようなもの
自治体が欲を出した干拓事業で無能・無責任の三流・四流が組織委を指揮
全世界にばれたことでかえって希望が持てるようになった

 大韓民国の基準や国際基準で見れば、よりハッキリする。最も多い4500人が参加した英国が最も早く撤収したのは、スカウト精神が足りなくて猛暑を避けようとしたためではない。 ジャンボリーの本場・英国は責任者たちが早々に到着して準備状況を徹底的に点検する。非衛生的なトイレやシャワー室不足などが再三指摘されたのにもかかわらず、組織委は改善意志も改善実行力も示さなかった。英国の撤収決定はセマングム組織委に下した破たん宣告だった。

 セマングム・ジャンボリーの給食を担当した大企業が見た状況も同様だった。高城ジャンボリーをはじめ国際イベントの経験も多く、一日200万食を供給できるような韓国を代表する企業だ。平昌冬季五輪はこれより規模が小さい企業でもうまく行った。スカウト隊員3万4000人に食材を、運営スタッフ9000人に食事を提供するには周到に準備しなければならないが、担当企業が直面したのは国際イベントとは名ばかりで、猛暑の湿地、それも虫がうごめく環境の下、組織委は村祭りの準備程度という無能さかつ安易さだった。隊員たち3万4000人がキャンプをしながら自ら調理して食事を作るための食材を会場全域の18基の冷蔵コンテナに早朝に配送しなければならないが、開幕直前まで電気がつかなかったため、キャンプ地の冷蔵コンテナは使用できなかった。このため、冷蔵トラックから直接配らなければならなかったが、組織委はフォークリフトなど最小限の重機も準備しておらず、配送員や社員たちは荷物を下ろすのに余計に苦労した。組織委は権限地域の業者から薫製の卵を供給してもらったが、「カビの生えた卵」が見つかり非難を浴びた。しかし、よく考えてみると、そうした劣悪かつデタラメな現場で集団食中毒のようなさらに深刻な事態が発生しなかったのは、衛生管理が徹底した大企業や協力業者の社員たちが苦労し、踏ん張ってくれたおかげだったのだろう。

 知らないわけではなかった。収拾のつかないことをやらかす無責任な政治家や、民間よりも無能でありながらパワハラを日常的に行い、上の人間の目を欺く公務員など、税金の寄生虫たちが奇怪なほど大きくなっていくのを防げなかった結果だ。今や世界中の知るところとなったのだから、どうか今回ばかりは与野党の間で「お前のせいだ」と言い合う政治攻防で問題の本質をごまかすことなく、皆が共に恥じ入りつつ、徹底して責任を糾明しなければならないだろう。「パンドラの箱」の中に最後の希望を見つけたいと思うならば。

姜京希(カン・ギョンヒ)論説委員

【写真】韓国ネットで話題になった会場トイレ韓日比較

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  • ▲8月2日に全羅北道扶安郡の干拓地・セマングムで開幕したボーイスカウト・ガールスカウトの祭典「第25回世界スカウトジャンボリー」のスカウト隊員たち。相次ぐ猛暑で体調を崩して倒れ、横になって休んでいた。写真=キム・ヨングン記者

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