インド太平洋地域はなぜ重要なのか…貿易相手国の70%、韓国の国益に直結

 隣国の日本は2007年に故・安倍晋三首相が「インド洋と太平洋の結合」という概念を提示するなど、この地域の戦略的重要性を早くから認識し、英国、フランス、ドイツなど欧州諸国も最近はそれぞれの戦略を発表しながら関与を拡大している。米国は「他のいかなる地域よりもインド太平洋地域で起こる出来事は今後の21世紀の世界の進む道を決めるだろう」(ブリンケン国務長官)と語るなど、この地域で考え方を同じくする国々と連携し、ルールと秩序を守ることに力を入れている。最近形となった韓米日協力もその過程において重要な役割を果たすと予想されている。英国の最新鋭空母「クイーン・エリザベス」は2021年9月に日本の横須賀米軍基地に寄港したが、これも当時は大きなニュースになった。

 韓国はインド太平洋地域の中心的国家でありながら、これまで中国との関係を考慮し台湾や南シナ海、東シナ海問題への言及は避けてきた。しかし最近中国海警がフィリピン海洋警察の艦艇に放水を行った際には現地の韓国大使館が異例にも懸念を表明するなど、積極的に自らの立場を伝え始めた。価値観に基づく外交とグローバル中枢国家を目指す尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足により「韓国の国力に見合った形で、重要な事案に対して言うべきことは言う」という外交方針が明確になりつつあるのだ。ある韓国政府高官は「最近は一部で民主主義が後退し、自由や人権などの普遍的価値が挑戦を受けている」「韓国はルールに基づく国際秩序を強化すると同時に、さまざまな国が協力し共存する地域の秩序を築き上げていきたい」と述べた。

 インド太平洋地域への進出は、これまで米国、中国、日本、ロシアのいわゆる4強に限られるとしてきた韓国外交の地平が大きく拡大するという意味合いも持つ。尹大統領が昨年5月にフィジーなど太平洋諸島フォーラム(PIF)加盟18カ国をソウルに招き、これらの国々と初めて首脳会議を行ったことがその代表的な事例だ。太平洋の島国は全世界の面積の14%近くを管轄する広大な排他的経済水域(EEZ)を持ち、マグロ漁獲量の70%をこの地域が占めるなど漁業資源も豊富なことから、協力拡大による実益は決して小さくないと考えられる。韓国政府はオーストラリア、カナダ、インド、モンゴルなど他のインド太平洋諸国とも協力も拡大している。

金隠仲(キム・ウンジュン)記者

【図】インド太平洋地域の重要性

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