福島原発「汚染処理水」と呼ぼう【朝鮮日報コラム】

科学的に安全だとしても国民をさらに安心させなければ
漠然とした恐怖の対象「放射能」…この機会にきちんと理解すべき

 2007年に米国で「水を飲んで小便我慢大会」が行われたが、28歳の女性参加者が3時間で7.5リットルを飲んで意識を失い、数時間後に死亡した。死因は「水中毒」だった。一日の水分摂取推奨量は大人で2リットルだ。短時間に人体が耐えられないほど大量に飲めば、水も毒になることがあるのだ。

【写真】ソウル大学病院教授「トリチウムが不安な人は肉ではなく魚を食べてください」

 ボツリヌストキシンは毒性が非常に強い。20ナノグラム(ng)だけで人が死ぬ。しかし、容量を1000分の1に減らせば、美容外科で顔のしわを伸ばす注射薬(ボトックス注射)として使われる。濃度によって人の役に立つこともあれば、人を殺すこともあるということだ。有害物質も安心して摂取できる許容基準値がある。水に鉛が0.01ミリグラム/リットル(mg/l)、ヒ素が0.01mg/l、水銀が0.001mg/l以下で含まれている場合は飲用水として「合格」だ。

 韓国科学技術団体総連合会は先日主催した討論会で、福島原発「汚染水」という呼称を「汚染処理水」に変えた。海洋放出基準に合致するものだという意味だ。生物学的毒性は「用量と投与時間」によって決まる。その2点を明示せずに「アスピリンを飲んだら死ぬ可能性がある」とか「水を飲んだら死ぬこともある」と言うならば、それは性急な一般化による誤りだ。今の汚染処理水に対する怪談(デマ)もそのような前提条件を無視した扇動に過ぎない。もちろん、日本が海洋放出基準を守っているかどうかは監視・検証しなければならない。

 人類は放射線被ばくに耐えながら生きてきた。日常的に食べる米・白菜・水・バナナ・牛乳・肉・魚にも放射性物質が入っている。太平洋で核実験が数百回行われた1960年代、北半球のトリチウム(三重水素)濃度は急激に増加したが、魚と人に特に問題が見つかったことはない。忠北大学のパク・イルヨン教授は「福島汚染処理水を一度に海洋放出したとしても、韓国海域に及ぼす放射性同位元素の濃度増加は、今の海や生物体内にある現存量の1万分の1から100万分の1程度で、非常に微々たる水準だ」「水産物を安心して食べても大丈夫だ」と言った。

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