福島原発「汚染処理水」と呼ぼう【朝鮮日報コラム】

科学的に安全だとしても国民をさらに安心させなければ
漠然とした恐怖の対象「放射能」…この機会にきちんと理解すべき

 野党・共に民主党は不安と恐怖を利用して「ニセの危険」を浮き彫りにすることに熱中している。40年以上にわたり放射能分野を研究してきた英オックスフォード大学のウェード・アリソン名誉教授(82)が「福島汚染水に対して過度な恐怖を持つ必要はない」と言うと、同党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「インチキ」と攻撃した。それならば、韓国科学技術団体総連合会はインチキ集団だというのだろうか。「100%安全なのか」という質問は愚問だ。そのような食品・薬品・技術は存在しないからだ。飛行機が危険性を持つことを知りながらも、私たちは搭乗する。リチウムバッテリーは爆発したこともあるが、私たちはスマートフォンを耳に当てて電話をする。

 放射性医薬品の特性と人体への影響を研究してきたパク・イルヨン教授は「福島汚染処理水を持ってきたら飲む」と言って、生放送の討論を提案した。政治家や環境団体とは科学の言語で討論できないため、科学者が立ち上がることを望んだが、3カ月間でただの1人も現れなかった。同教授は「陣営の『おり』に閉じ込められて聞かない、信じない人々がいて残念だが、科学と常識を語り続けていく」「狂牛病(牛海綿状脳症〈BSE〉)問題の時ように、多くの人々がだまされたり、利用されたりしていない点は希望がある」と語った。

 韓国政府に提案する。「汚染水」ではなく「汚染処理水」と呼ぼう。科学的意味の安全と国民が感じる安心の間に乖離(かいり)があるからだ。認識転換に役立つだろう。福島原発事故は災いだったが、韓国が損ばかりしたわけではない。原発の安全性がさらに高まり、廃炉処理などの問題に対処する間接的な経験を得た。汚染処理水の海洋放出も危機ばかりではない。見えなくて、感じることもできず、漠然とした恐怖を与える放射線と放射性物質について、きちんと理解する機会に変えることができる。

朴敦圭(パク・トンギュ)週末ニュース部長

【写真】ソウル大学病院教授「トリチウムが不安な人は肉ではなく魚を食べてください」

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