「お客さま、チップは?」 韓国も例外ではない

韓国でも米国式のチップ文化が拡大
「次第に出前料金のように固定化するだろう」

■米国では「チップフレーション」ショック

 チップ文化の導入に対する反感の背景には、現在「チップ大国」米国がチップで相当な経済的混乱を招いていることが挙げられる。飛ぶ鳥を落とす勢いで上昇したチップ価格が、いつのまにかコストの40%まで急騰した上、スターバックスのような大型フランチャイズでも注文画面でチップ決済を選択できるようにし始めた。従業員のサービスを一切受けなかったとしても、人目があるためチップを渡さざるを得ない状況が醸し出されているというのだ。有名米国人ユーチューバーのオリバー・シャン・グラントの最近掲載した動画が話題となっている。米国のパン屋の注文画面で1.69ドル(約250円)のベーグルを注文すると、チップを払うかどうかを尋ねる画面が表示されるが、最低金額が1ドル(約146円)からだった。チップのインフレを意味する「チップフレーション」という新造語が登場した理由だ。

 米国は飲食店、ウエーターなどサービス業種の連邦最低時給が2.13ドル(約311円)と安く、客のチップに依存せざるを得ない構造となっている。しかし、こうした米国でもチップ文化をなくすべきだとする主張が取り沙汰されている。6月、米国金融情報提供業者のバンクレートがまとめた報告書によると、米国の成人の3人に2人(66%)がチップに対して否定的な立場を示していることが分かった。調査に参加した41%が「業者がチップに依存する代わりに従業員により多くの賃金を支給しなければならない」と答えた。

■好意が続けば権利になるか

 韓国国内世論調査プラットフォーム「ザ・ポール」が最近、2万2959人の市民を対象に行ったオンライン・アンケートで「チップ文化についてどう思うか」という質問に61%が「否定的」立場を明らかにした。このうち「非常に否定的」という回答は38%で、「非常に肯定的」(8.5%)の5倍近くに上った。こうした背景には、好意で始まったチップ文化がまるで義務であるかのように変質するといった見方が大きく影響している。「タクシーチップ」の導入についても「テスト導入されたことで、結局出前料金のように固定化する恐れがある」と答えた割合が57.4%だった。

 物価上昇とともに出前チップや包装チップなど各種サービスに付き始めた料金も、「チップに抵抗する」雰囲気を助長するのに一役買っている。淑明女子大学消費者経済学科のチェ・チョル教授は「正規料金にプラス・アルファが要求される状況が何度も続けば、消費者は負担にならざるを得ない」とし「こうした習慣が韓国国内に適用されることが本当に正しいのか、しっかりと見極める消費者団体などの動きが必要と思われる」と話した。

チョン・サンヒョク記者

【表】韓国人にアンケート「チップ文化についてどう思いますか?」

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