「不逮捕特権放棄」「水産物は一生口にしない」 その言葉、本気だと思ったの?【朝鮮日報コラム】

 今年6月19日、韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は国会で演説した。終わりに差しかかると、事前の原稿になかった発言が飛び出した。

 「李在明逮捕同意案で民主党の対立と分裂を狙っている。その口実さえ与えない。彼らの試みを容認しない。不逮捕の権利を放棄する」

【写真】「不逮捕特権放棄」を約束(6月19日)、刺身店で会食(8月30日)した李在明代表

 民主党の議席から控えめな拍手が沸き起こった。繊細に事前調整された「決断の瞬間」だった。その場面が映ったユーチューブ映像には「えっ、不逮捕権利放棄」「素晴らしい、李在明」「本当に涙が出る」といったコメントがついた。鄭清来(チョン・チョンレ)最高委員はソーシャルメディアに「私は止めたが、代表の意志があまりに強かった」と書いた。野党寄りのメディアは「李在明、不逮捕特権放棄で勝負の一手 リーダーシップ危機正面突破」という見出しを掲げた。

 与党国民の力の院内広報は「本気なのかショーなのか見守る」と論評した。今回は約束を守るかどうか疑わしいという趣旨だった。李在明代表は不逮捕特権廃止の大統領選公約を一度覆した前例がある。国会演説で2度目の約束まで覆すとは想像もできなかった。一方、李在明代表が本当に刑務所に行く決心をしたのかどうかも気になった。大統領選落選直後、補選に続き、党代表選挙に出馬するという常識外れの選択をしたのは、司法処理を何とか避けようとする抵抗と映ったためだ。

 李在明代表の断食と入院を見守りながら、その疑問が解けた。18日令状請求、19日大統領裁可、20日本会議報告、21日表決というスケジュールはかなり前に決まったという。それを逃すと、秋夕(中秋節)の長期連休を迎え、本会議の日程が10月末まで延期されることになる。李代表側もそのスケジュールを熟知していた。先週末から救急車がハンスト場所に出入りしてムードづくりを行い、18日早朝に「強制入院」の手順を踏んだ。そうすることで、予定されていた令状請求を「非情な政権による残忍な仕打ち」にすることに成功した。

 李在明代表の熱狂的支持者が逮捕同意案否決を迫る携帯メールを拡散すると、李在明派の議員は忠誠を誓う返事で答えた。事務総長は「可決票を投じる議員を徹底追跡し、探し出して政治的生命を絶つ」と脅迫した。沈黙していた李代表も最後の瞬間、「検察独裁を国会前で止めてほしい」として否決を訴えた。李在明代表は全て計画していたのだ。

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