理由が分からない韓悳洙首相解任建議、共に民主の党利党略には際限がない【9月22日付社説】

 韓国野党・共に民主党は21日、憲政史上初めて国務総理(首相)の解任建議案を可決させた。共に民主党は韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対し「総体的亡国内閣であり、責任を追及する」と批判したが、具体的に何に対してどう責任を追及するのかまともな説明はなかった。韓首相は23日、中国杭州で開催されるアジア大会に韓国政府代表として出席するが、訳の分からないまま「解任決議」を受ける立場となった。

 現政権発足後、韓国外交部(省に相当、以下同じ)の朴振(パク・チン)長官、行政安全部の李祥敏(イ・サンミン)長官の解任建議案がすでに国会で可決された。そのため今回韓首相は3人目の解任決議可決となる。1987年に現行憲法が施行されてから36年間、首相や長官の解任決議が国会で可決されたのは合計6回あったが、その半分はここ1年間の共に民主党によるものだ。解任決議は大統領がこれを認めなければ効力がないが、このように記録を塗り替えても可決をごり押しする理由は完全に共に民主党の政治的な計算があるからだ。同党の李在明(イ・ジェミョン)代表に対する逮捕同意案が採決される可能性が高まったため、「内閣総辞職」「韓首相解任案」などで緊張を高め、採決に当たる所属議員らの離脱を阻止したいのだ。

 共に民主党は同日、2014年に「ソウル市公務員スパイ事件」を捜査した検事に対する弾劾訴追案も可決させた。検事の弾劾も憲政史上初めてだ。高位公職者犯罪捜査処もこの事件に関係する検事をすでに不起訴としている。ところがこの9年前の事件で今になって何を理由に国会で弾劾するのか。行政安全部長官弾劾も憲法裁判所で全員一致ですでに棄却されたが、今回もこれと同じく無理な弾劾だ。検事に対するこのおかしな弾劾も結局は李在明代表に対する捜査を進める検察への報復としか考えられない。

 共に民主党は政権を失ってから李在明代表が就任したが、その後の党の動きは文字通り度が過ぎた常識外れのものばかりだった。大統領選挙で敗れた人間がわずか3カ月後に国会議員となり、それから2カ月後に党代表に就任し、さらに1年にわたり一日も休むことなく(司法リスクから逃れる)弾除け国会を開催し続けた。また圧倒的な議席数を武器に政府が政策を進めるたびに足を引っ張っている。就任から6カ月にもならない大統領の弾劾もちらつかせた。大統領が拒否権を行使することが分かり切っていても、自分たちが政権政党だった時にできなかった法律の制定を強行した。大統領の妻に対しては特別法まで制定しようとしている。これらはいずれも憲政史上前例がないことばかりだ。共通点があるとすれば全て共に民主党の党利党略によるという点だ。

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  • ▲韓悳洙(ハン・ドクス)首相。9月21日撮影。/news1 

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