アジア・アフリカ経由で中南米まで…地球を一周した「一帯一路」

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 9月1日、アルゼンチン・ブエノスアイレス大経済学部の校舎2階にある「孔子学院」を訪れた。内部には中国語とスペイン語で書かれた中国の歴史、哲学、言語などに関する本数百冊と中国留学紹介冊子が置かれていた。案内デスクでは中国語や中国文化などに関する講座について問い合わせを受け付けていた。孔子学院関係者は「ここの学生でなくても誰でも講座を受講できる」と説明した。

【写真】ブエノスアイレス大経済学部の校舎2階にある孔子学院の内部

 孔子学院は中国政府が自国の言語・文化などソフトパワーを広める趣旨で世界各地に設けた機関だ。しかし、米国、カナダ、欧州など主な西側諸国は、孔子学院が中国共産党と連携し、安全保障を脅かす宣伝・諜報機関だとして、積極的に撤退させ、これまでにほとんど姿を消した。

 中南米の状況は異なる。ブエノスアイレス孔子学院だけで年間2000~2500人が中国関連の講座を受講しており、コルドバ大、ラプラタ大など拠点国立大学にも孔子学院が設置されている。地域の経済大国ブラジル(10カ所)、チリ(2カ所)をはじめ、中南米だけで40カ所余りが運営されている。

 ユーラシアと二つの大洋(太平洋・大西洋)を隔てて離れた中南米も中国の一帯一路プロジェクトの影響圏に編入されている。特に中国は孔子学院を前面に掲げ友好的世論を現地に形成し、莫大な資金力を動員してこれまで米国が裏庭と考えていた中南米で道路、港湾、鉄道など大規模なインフラ整備事業を相次いで受注し、経済的影響力を高めている。

 中国が特に狙っているのは港湾だ。米シンクタンクの「安全な自由社会センター(SFS)」「ラテンアメリカ経済観測所(OBELA)」などによれば、中国が国有企業と民間企業で運営権を確保したか新しく建設を決めた中南米の港湾は約40カ所に達する。

 このうち最近注目されているのはペルーに建設中のチャンカイ港だ。ペルーの首都リマから北に60キロ離れた同港に中国国営の中国遠洋運輸集団(COSCO)が30億ドル以上を投資し、60%の権益を確保した。同港は最大水深が16メートルに達し、年間500万TEU(20フィート標準コンテナ換算)以上のコンテナを処理でき、パナマックス級の船舶も停泊できる南米最大規模の貿易港だ。同港が供用を開始すれば、中国・南米間の貿易航路の所要時間を現在の45日間から35日間に短縮できる。

 中国は国有企業の招商局港口(チャイナ・マーチャンツ)を通じ、ブラジルのパラナグア港の権益67.5%も確保した。同港はブラジルで最大規模の農産物輸出港で、大豆などブラジル南部の穀倉地帯の農産物輸出ルートとなる。このほか、中国のメキシコのベラクルス、エンセナダ、マンサニージョ、ラサロカルデナスの各港、ジャマイカのキングストン港、バハマのフリーポート港、パナマのバルボア港などの権益も確保した。

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