韓国大統領選2日前に尹錫悦フェイクニュースを引用報道、KBS・JTBC・YTNに課徴金

 昨年の韓国大統領選直前、インターネットメディア・ニュース打破の「金万培(キム・マンベ)虚偽インタビュー」を引用して報道したKBS、JTBC、YTNの3局に対し、放送通信審議委員会は25日、最高水準の法定制裁となる課徴金処分を下した。

【写真】2022年韓国大統領選直前に引用・拡散されたニュース打破「虚偽インタビュー」

 同委は全体会議で「根拠が不明な一方の録音記録を検証なしに報道し、事実であるかのように報じるのは問題だ」との意見で一致した。

 ニュース打破は大統領選を3日後に控えた昨年3月6日、国民の力の尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補が検事時代の2011年、大庄洞事件の主犯である金万培(キム・マンベ、火天大有大株主)らの要請で釜山貯蓄銀行事件をもみ消したとして、金万培氏らの肉声による録音ファイルを報じた。翌日KBSは「ニュース9」で「金万培肉声『尹錫悦が手心』… 尹氏側「明白な虚偽」とのタイトルで報じた。YTNは「ニュースがある夕方」の番組内で「大庄洞事件の元祖を尹錫悦検事がもみ消したという主張を裏付ける録音が示された」とコメント。JTBCは同日「ニュースルーム」で記事タイトルに「大統領選2日前、金万培新録音…捜査もみ消し言及」などという文言を使用した。

 放送通信審議委は「引用報道を行う場合、出所と事実関係に対する検証と確認作業をさらに徹底して行うべきだったが、大統領選をわずか2日後に控え、政治的偏向が疑われる内容をそのまま引用したことは客観的真実の追求よりも大衆の関心を呼び起こす動きに便乗したものだ」として、放送審議規定の「公正性」「客観性」義務に違反したと判断した。

 3局への課徴金処分には放送通信審議委員7人のうち4人が賛成した。野党推薦委員3人のうち2人は反対意見を表明して退場した。尹成玉(ユン・ソンオク)委員(野党推薦)は「真実だと信じるに足りる相当な理由があれば報道できる。録音ファイルの捏造(ねつぞう)を予想することは現実的に不可能だった」として表決で「問題なし」との意見を表明した。柳熙林(リュ・ヒリム)委員長は「インタビュー録音の歪曲(わいきょく)と捏造を既にニュース打破が認め、それを引用した報道機関のほぼ全てが謝罪文まで出した。まともな事実確認を経ていない報道に対し責任を問う」と述べた。

 一方、MBCに対する審議は局側の要請で先送りされた。MBCは大統領選の2日前、「ニュースデスク」で「金万培『尹錫悦が手心を加えた…事件がなくなった」などのタイトルで、量的に最多の4件の報道を相次いで行った。放送通信審議委関係者は「MBCは別途意見陳述を聞き、今後小委員会と全体会議で制裁のレベルを決める」と説明した。同委による法定制裁は放送局の再免許・再承認の際に減点事由になる。「注意」「警告」がマイナス1~2点であるのに対し、課徴金はマイナス10点だ。次の会議で決定される課徴金の金額は地上波の場合、最大4500万ウォン(約500万円)となる。

キム・ミンジョン記者

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  • ▲金万培氏(左)、申鶴林氏

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