■試合に出なくても兵役免除
アジア大会は種目によっては金メダルがそれほど取りにくい国際大会ではないことが結構ある。その代表的な例が野球だ。韓国以外の参加国はほとんどアマチュア選手が出場するため、兵役問題を解決できていないプロ選手が出場する韓国にとって、アジア大会は「合法的な兵役ブローカー」と言ってもいいのが実情だ。比較的簡単に金メダルを取ってきたため、兵役免除を狙って出場するプロ野球選手も少なくない。
これまでも、負傷を隠して出場し、ほとんど試合に出ずに兵役免除資格だけ得たという疑惑が持たれている選手がいた。今回も投手・郭彬(クァク・ピン、24)=斗山ベアーズ=は「背中を痛めた」と言って投球しなかったが、韓国代表チームが金メダルを取ったため、兵役免除の恩恵にあずかることになった。アジア大会前、野球の韓国代表チームに対して、インターネット上に「銀メダルを祈る」などの投稿が相次ぐのも、こうした理由からだ。
ゴルフも同じだ。今回のアジア大会からはプロゴルファーも出場できるよう規定が変更された。シーズン中なので、女子プロゴルファーたちはほとんど出場していないが、米プロゴルフ(PGA)ツアーでプレーする任成宰(イム・ソンジェ、25)=世界ランキング26位=と金施佑(キム・シウ、28)=同40位=は出場した。他の国はアマチュア選手しか出場していない。兵役免除が狙いであることは明らかだった。韓国はプロゴルファー2人が出場し、予想通り男子団体戦で金メダルを獲得、2人は狙い通りの成果を挙げた。任成宰は「PGAツアーにいっそう集中してロングランできる気がする」と感想を述べた。
■種目が増え続け、兵役免除対象が拡大
さらに問題なのは、アジア大会の競技種目がますます増えていることにある。今回も問題になったeスポーツの他にも囲碁、ブレイキン(ブレイクダンス)、カードゲーム(ブリッジ)、チェス、シャンチー(将棋の一種・デモンストレーション種目)などまで含まれ、「これが果たしてスポーツなのか」「アジア大会はもはやスポーツ大会ではない」という議論も取りざたされているのが実情だ。
今大会のeスポーツ「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」で金メダルを取り、兵役特例を受けることになった「チョビ」ことチョン・ジフン(22)は「いい時代に生まれて感謝している」とコメントした。西江大学のチョン・ヨンチョル教授(スポーツ心理学)は「(兵役特例の規定は)かつて(選手たちの)実力を向上させるために考案された極端な手段だ」「結局は公平性の問題だ。国威発揚だけを考えれば、世界的な男性アイドルグループのBTS(防弾少年団)はなぜ入隊したのだろうか。時代遅れの法律を見直す必要がある」と語った。
イ・ヨンビン記者、杭州=パク・カンヒョン記者