上告から6年「帝国の慰安婦」裁判、韓国大法院がきょう判決

 二審判決はそれから9カ月後に出たが、一転有罪となった。ソウル高裁は17年10月27日、朴教授に罰金1000万ウォン(約111万円)を言い渡した。ソウル高裁は「朴教授は慰安婦問題を長期間研究し、朝鮮人慰安婦の強制動員および日本軍による関与の事実を知りながら、虚偽事実を断定的に表現した」と判断した。朝鮮人慰安婦の強制動員と日本軍の関与を認めた国連や国際法律家協会など国際機関の研究報告書と「河野談話」を根拠に挙げた。

 一方でソウル高裁は「学問の自由は保護されなければならず、誤った考えや意見が裁判官の刑事処罰によって隠されることは望ましくない」としたが、それは量刑を罰金刑とした要素としてのみ判断した。当時朴教授は「慰安婦問題は20年以上続いた問題であり、依然として学界が研究中のテーマだ」とし、「一審とは異なり、二審は(私が)提出した膨大な資料に対する十分な検討がなかった」として、大法院に上告した。

 今回の事件は17年11月15日に大法院に上告され、同年12月14日に高永ハン(コ・ヨンハン)大法官(当時)に割り当てられた。18年8月、高氏が退任し、事件は盧貞姫(ノ・ジョンヒ)大法官に引き継がれた。6年にわたる係争中、裁判所の事件検索サイトでこの事件を検索すると、「法理・争点に関する総合的検討中」となっていたが、21年5月からは「争点に関する裁判所議論中」という表示に変わった。

 法曹界からは「この事件は大法院が相当期間悩むほどの事案かもしれないが、6年間も判決を言い渡さなかったことは前例のない裁判遅滞だ」とし、「大法院自らが判決の権威を貶めている事例」だとの声が上がった。

 朴教授は本紙の電話取材に対し、「私の本は韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)などの団体が主張して固まった国民的常識に異議を提起した本であり、慰安婦問題を否定する本ではない」とし、「それがあたかも反逆罪でも犯したかのように名誉毀損の方向に流れたことを非常に遺憾を感じる」と述べた。

イ・スルビ記者

【表】「帝国の慰安婦」事件の経緯

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