朴裕河を打ちのめしたこん棒【朝鮮日報コラム】

 驚くことに、ハルモニたちを助ける「義のある」集団、「挺(てい)対協」が、この問題に命を懸けて戦いを挑んだ。文章を抜粋し、話の前後を断ち切り、朴裕河を「売国奴」に仕立てた。そのころ、疑念を抱き始めた。初期に慰安婦研究をしていたさまざまな男女の学者らは追い出され、いつの間にか、挺対協が何人かを掌握した「フレンドビジネス」になっているのではないか。朴裕河を攻撃した後、慰安婦というキーワードは「少女像」という偶像を通して感性的にますます拡散し、さらに大きな国民的支持を受けた。事業として見れば、非常にうまいマーケティングだ。「被告・朴裕河」は法廷に通う間に定年退職し、挺対協共同代表から国会議員にまでなった尹美香(ユン・ミヒャン)もまた横領事件の被告になった。

 公職の候補が生放送でうそをついても「質問に答える、即興的なうそはうそとは見なせない」として無罪判決が出る国だ。フェイクニュースの量産にふけっているメディアを家宅捜索しても「言論にくつわをはめるもの」という論理が出てくる国だ。「うそをつく自由」まで保障しているが、「親日」のレッテルが貼られると生き埋めになる。ひとえに左派が、その鑑別を行う。

 朴裕河の著書は、見事な研究書ではない。「(慰安婦の役割は)性的慰撫(いぶ)を含む故郷の役割だった」というような文章は、性搾取を「哀愁」で包装しており、飲み込むには難がある。

 それでも、挺対協のように考えず、尹美香のように語らないからといって学者を脅迫するのは、全体主義的暴力だ。太極旗部隊ではなく、こういう存在が「極右」あるいは「極左」に当たる。その暴力を、同じ教授たちも、学者たちも、言論も、見て見ぬふりをした。朴裕河をたたくこん棒が自分たちに向くことを恐れた。記者もそのひきょうな群れの中にいた。大法院(最高裁に相当)は10月26日、朴裕河に対する原審判決(名誉毀損〈きそん〉の罪で罰金1000万ウォン〈約110万円)を無罪の趣旨で破棄差し戻しとした。裁判長の盧貞姫(ノ・ジョンヒ)大法官は代表的な進歩派判事だ。

朴垠柱(パク・ウンジュ)副局長兼エディター

【写真】慰安婦ハルモニたちと会った朴裕河教授(2013年11月30日)

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