朴裕河を打ちのめしたこん棒【朝鮮日報コラム】

学問の自由が勝利した

挺対協が独占していた「慰安婦の論理」…異なる主張をすると「売国奴」扱い

学者も、メディアもひきょうだった

 「学者は自己の研究が民族の利益に符合するかどうかまず考えなければならない。それを忘れたら保護を受ける資格はない」。『帝国の慰安婦』を書いた朴裕河(パク・ユハ)世宗大学教授が起訴された2014年ごろ、進歩(革新)系のある人物がラジオでこんなことを言った。学問の自由を否定する全体主義的発言だった。驚くべき発言に、タクシーの中でメモを取った。さらに驚くべきは、出演者の誰も文句をつけなかった、という点だ。「それでも刑事処罰はやり過ぎ」くらいの反論しか記憶に残っていない。

【写真】慰安婦ハルモニたちと会った朴裕河教授(2013年11月30日)

 2013年、『帝国の慰安婦』が配達された日、一息に読んだ。歴史学者ではない人文科の教授が書いたこの本は、朝鮮だけでなく日本、東南アジア、オランダまで広く取り扱い、女性の身体を搾取する国家権力と資本、その中の女性を題材にしていた。フェミニズム的視点だった。痛いほどに直接的な部分も多かった。

 同書は、さまざまなメディアのインタビューを比較し、慰安婦生存者の証言が年を追って変わっていっている点も指摘した。慰安婦になったという年齢は徐々に若くなっていき、最初は「お金を稼ごうと思って行った」と話していたのに、何度かインタビューした後には「ある日突然連れていかれた」に変わっていた。

 慰安婦被害者らはうそつきで、自発的売春婦だと非難しているわけでは決してない。遠い過去を記す被害者の証言は、一貫性を維持するのが困難だ。トラウマ、老化、政治的立場など、さまざまな理由がある。朴裕河は、個人の陳述の限界を超え、資料を通して戦争犯罪である日本の「慰安婦動員」体制を分析した。

 植民地の愚かな父親は「行って金を稼いでこい」と娘の背中を押し、町内に住む遠い親類は純真な女性をそそのかした。もちろん、強制で連れていかれたような少女も、お金を稼ぎにいった婚期外れの女性もいた。国がしっかりしていれば、起きるようなことではない。「強要された自発性」は、植民支配が厳然たる日常の暴力となっていたことを証明するものだ。日本には責任がないと言っているのではない。

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  • ▲朴裕河・世宗大学教授と、朴教授が2013年に出版した著書『帝国の慰安婦』
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