10月29日から30日にかけて、X(旧ツイッター)などのSNS(交流サイト)では、イスラエル軍による空襲で犠牲になったパレスチナ住民の遺体の一部が、白い布にくるまれた状態で動いたり鼻をかいたりする動画が出回った。
「アルジャジーラ放送の事前撮影準備」と題するこの動画には、10月7日にパレスチナのテロ組織「ハマス」の奇襲攻撃の後イスラエル空軍の報復攻撃によって死亡したというパレスチナ住民の遺体が、白い布にくるまれて地面に置かれている様子が収められている。しかし、これらの「遺体」のうち何体かは白い布の中で動いており、中には手で顔を触っている様子もみられる。
そのため、この動画はイスラエル軍による残酷な民間人殺害を誇張するためにアラブ系放送局「アルジャジーラ」が制作した「やらせ動画」だとの疑惑が浮上し、動画はまたたく間に中国・イタリア・インドなど全世界に拡散された。
インターネット上では「残酷に殺害されたパレスチナの住民たちは、おとなしく横たわる程度の忍耐力もないようだ」(ドイツ)、「法と正義党(PiS=ポーランドの執権政党)のようなハマスが作り出した動画」(ポーランド)、「テレビの撮影中ってことを忘れたのか?」などとからかうコメントが相次いだ。あるネットユーザーは「これは映画の撮影か? そうでなければ何か邪悪なことでもしているのか? 誰か説明してくれ」と書き込んだ。
この動画は実際には、2018年からイスラエルとハマス間の衝突が起きるたびに「パレスチナのうそ」という名前で頻繁に登場している。18年5月16日にはイスラエルのネットユーザーがツイッターでこの動画をシェアし「パレスチナの殉教者として亡くなっても、鼻はかゆいんだな」と書き込んだ。