こうした事実を意識したかのように、出版社は「2023年9月20日に控訴審裁判部が、一審と違って検察の肩を持ってやったが、本書は大部分について無罪を言い渡された2023年2月10日の一審判決当時の心情を基に書かれたもの」と留保を付けた。法曹界からは「一審の結果が二審で議員職喪失刑に該当する有罪へと覆った状況において、尹議員は事実をごまかすことしかできない」という指摘が出ている。
在任中、「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」を国家記念日に初めて指定した文・前大統領は、2019年に「慰安婦被害者らの尊厳と名誉回復のために最善を尽くす」とし「人類の普遍的観点から、日本軍『慰安婦』問題を平和と女性人権に対するメッセージとして国際社会で共有し、拡散していきたい」と語っていた。また「ハルモニたちの努力に感謝いたします。ハルモニたちがおられることで、われわれも真実と向き合うことができた」「世界の市民社会と連帯し、他の国の被害者らにも希望を与えてくださった数多くのハルモニたちと金福童ハルモニを記憶したい」と述べた。
政界からは、無罪を主張する著書を尹議員から受け取って「ぜひ読みたい」と言った文・前大統領の行動は不適切だという指摘が出た。文・前大統領は、チョ・グク元法相が一審で懲役2年の実刑を受けた後に出した法理論書についても、今年初めに「著者の力量をあらためて確認しつつ、残念な気持ちを抱いている」とコメントし、法を守って暮らしている一般の韓国国民を愚弄(ぐろう)するものではないかとの批判を浴びた。
進歩(革新)系最大野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表もまた、推薦の辞を通して「2023年9月20日、二審判決が下された。一審の『事実上無罪』の判決を覆す結果だった。横領額を大幅に高く見積もり、一部の容疑についても有罪判決が下された」とし「大法院(最高裁に相当)の最終判決が残っているが、尹美香議員の真心をよく知る立場からは、残念でしかない。だが二審判決にもかかわらず、尹美香議員のくじけない心は相変わらずだろうと信じる」と記した。
朴国熙(パク・ククヒ)記者