なぜ復讐劇に熱狂するのか…「正しい暴力」を愛するが故

なぜ復讐劇に熱狂するのか…「正しい暴力」を愛するが故

【新刊】ロバート・M・サポルスキー著、キム・ミョンナム訳『行動』文学トンネ刊

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 今年1年間を通じて映画やドラマには暴力が横行した。われわれは犯罪者を突き止め逮捕するスーパー刑事と校内暴力の加害者に対する残酷な復讐(ふくしゅう)に熱狂した。米スタンフォード大学神経学科教授の著者は、こうした現象について「人間は暴力を嫌がらない」と説明する。人間が嫌がるのは誤った脈絡の暴力に過ぎず、「正しい」方向の攻撃性である場合、われわれは暴力を愛することさえあると説く。

 生物学を基に人間の暴力と攻撃性について探求する。「その行動はなぜ起きたのか」が同書をリードする最大のポイントだ。行動が起きる1秒前、脳の辺縁系では何が起きているのだろうか。数秒前、どんな感覚情報が入ってきたのだろうか。数年前に経験した逆境はどのような影響を及ぼしたのだろうか。数百万年前の進化的要因までさかのぼり、人間の本性を解剖する。

 執筆だけで10年、生涯にわたる深みのある研究を興味深い事例とシニカルなユーモアで難なく解きほぐす。科学が最悪の行動を減らし、最善の行動を引き出すことができるという希望に満ちた結論に、喜んで説得されるだろう。1040ページ、5万5000ウォン(約6200円)。

ペク・スジン記者

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