「救援物資を待つ民間人に銃撃、100人以上が死亡」とのハマス主張にイスラエルがドローン映像で反論

 パレスチナのガザ地区で先月29日、救援物資を積んだトラックに住民が押し寄せ100人以上が犠牲になった事件で国際社会はイスラエルを非難しているが、これに対してイスラエル軍は現場の様子を撮影した動画を公開し「犠牲者のほとんどは激しい混乱の中で圧死あるいはトラックにひかれて死亡した」と反論した。ハマスは「イスラエル軍の発砲で住民が虐殺された」と主張しているが、イスラエルはこれに反論しているのだ。

【動画】「犠牲者の大半は圧死かトラックにひかれ死亡」イスラエル軍が公開したドローン映像

 イスラエル軍のハガリ報道官は先月29日午後に緊急の会見を行い「今日午前4時45分ごろ、ガザ地区北部で起こった事故は(救援物資を積んだトラックを見て)数千人の住民が殺到し、一部が物資を略奪しながら別の住民に暴力を振るったことで発生した」と主張した。「イスラエル軍の戦車が住民に発砲した」との主張に対してハガリ報道官は「救援物資を積んだトラックを守るため、現場周辺の戦車が暴徒たちを解散させるために行った警告射撃だ」「群衆に向けた砲撃は絶対に行われなかった」と反論した。

 イスラエル軍は当時の様子を上空から赤外線カメラで撮影したドローン映像を公開した。ハガリ報道官は「見てわかるように群衆が一気に押し寄せる混乱の中で(他の住民に踏みつけられた)圧死事故が相次ぎ、またトラックが走り去る際には多くの住民がトラックにはねられた」「これが主な死亡原因だ」と説明した。ハガリ報道官はさらに「一部の住民が検問所で兵士や戦車を襲った際に発砲が起こったのは事実」としながらも「その犠牲者は10人を下回る」とも主張した。

 これに対してハマスが支配するガザ地区保健省は同日午後「イスラエル軍の発砲で少なくとも112人が死亡し、700人が負傷した」と改めて主張した。国際社会の雰囲気はイスラエル非難に傾いており、とりわけサウジアラビア、エジプト、ヨルダン、トルコなどイスラム諸国は声明で「イスラエルが民間人を標的にまたも人道に反する犯罪を行った」と主張した。コロンビアのペトロ大統領は「これは大量虐殺だ」とした上で「イスラエルからの武器購入を中断する」と発言した。一方で米国のバイデン大統領は「(双方は)相反する主張をしており、現時点で確実な結論は出せない」として慎重な見方を示した。

 ハレツなどイスラエル現地メディアは「責任の所在とは関係なく、今回の事件はイスラエルとハマスによる休戦と人質交換交渉に悪影響を及ぼすだろう」と予想している。ハマスは現在40日間の休戦に加え、イスラエル人の人質1人に対してイスラエルの刑務所に服役しているパレスチナ人10人の釈放を求める方向で検討している。イスラエルのネタニヤフ首相は同日行われたテレビ会見で「ハマスは今なお合意には応じようとしない」「(交渉実現の可能性とは別に)人質の救出とハマス解体に向けガザ地区最南端ラファへの軍事作戦を実行に移す」との考えを改めて示した。

パリ=チョン・チョルファン特派員

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