安倍氏は2019年5月、天皇の生前退位に伴う現天皇の即位で令和の時代が始まることをトランプ氏との関係をさらに強化する上で活用した。
とても自慢好きのトランプ氏に最高の「おもてなし」を提供することにしたのだ。トランプ氏は2019年5月26日に国賓として訪日。千葉県のゴルフ場にヘリを着陸させた後、安倍氏とゴルフをした。続いて二人は令和になって初めて行われた大相撲で再会した。トランプ氏は現職の米大統領として初めて大相撲夏場所の千秋楽を東京の両国国技館の特別席で観覧した。続いて土俵に上がり、優勝力士を「大相撲グランドチャンピオン」と呼び、米国で特別に製作してきた「日米友好のためのトランプ杯」を授与した。
安倍氏は客の前でシェフが直接焼いてくれる有名な和食レストランで夕食をもてなした。トランプ氏の好みに合わせ、米国産牛肉を入れた特製ハンバーガーを作って出したこともあった。
安倍氏の細やかな準備に感動したトランプ氏は、天皇主催の晩餐会で両国関係を一層格上げし、「日米関係は宝のような同盟だ」と最高の賛辞を送った。翌日日本を発つ前に神奈川県横須賀市の海上自衛隊基地を訪れ、いずも型護衛艦「かが」に乗船したことで、日米同盟が絶頂に達したことを示した。
安倍氏はトランプ氏に儀礼面だけでアプローチしたわけではない。安倍氏はトランプ氏が中国けん制に乗り出すことを重視し、自分がかなり以前から考案していた「インド太平洋戦略」を提案した。安倍首相は2006年、著書「美しい国へ」で米国、日本、オーストラリア、インドを結ぶ同戦略の構想を発表している。その影響もあり、トランプ政権は2017年10月から「アジア太平洋」を「インド太平洋」と呼び始めた。続いて米ハワイ州の太平洋軍司令部も2018年5月、インド太平洋軍司令部に名称が変更された。
安倍氏はトランプ氏が1期目に3回、北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)氏と首脳会談をする際にも、水面下で北朝鮮関連情報を提供してアドバイスした。安倍氏がトランプ氏の耳目をつかんだ結果、トランプ氏は事あるたびに「日本人拉致被害者」問題に貢献すると約束した。トランプ氏と親しい関係を構築した安倍氏は2019年2月、ハノイでの米朝首脳会談が決裂する可能性を事前に把握していた。
安倍氏はトランプ氏と2020年4月まで首脳会談14回、電話会談35回を行い、トランプ氏の就任後毎月少なくとも1回以上電話会談を行うという記録を打ち立てた。韓国国防外交協会会長で日本通のクォン・テファン氏は「安倍氏がトランプ1期目に前例のない緊密な米日関係を構築し、国益を増進した事例を参考にする必要がある」と話した。
李河遠(イ・ハウォン)外交安保エディター