外国人が経営しているインド料理店は、注文の際も英語が使用されている。社長も従業員も現地のインド人なので、韓国語ができない。顧客は「注文の際に、英語しか使えないのでちょっと不便」「現地の雰囲気を感じることができていいが、英語を知らない人にとってはやや困難」といった反応を示した。週末に聖水洞をよく訪れるという会社員のユン・ジヒョンさん(26)は「最近、聖水洞の飲食店はブログに入っておすすめメニューを確認しないと注文できない」とし「案内を見るだけでは、どういう料理なのか見当すらつかない」と話す。
■毎年増加する外国人訪問客、看板の主流は英語表示
このような「聖水洞の外国化」は、増える外国人観光客と韓国人特有の「文化事大主義」のためだといったもっぱらの評価だ。実際、韓国観光公社によると、昨年聖水洞を訪れた外国人観光客は計97万855人で、前年(51万7610人)に比べて87.5%増えた。淑明女子大学消費者経済学科のイ・ホンジュ教授は「常に接している韓国語よりも英語の方に魅力を感じる若い消費者層が増えたことで、聖水洞がこのように変化した可能性がある」とし「聖水洞でこうした消費者層を吸収することが売り上げ増につながると考えた経営者たちが売り場のコンセプトを『異国』にした」と説明する。
街を埋め尽くした外国語表示の看板も聖水洞の特徴の一つだ。屋外広告物など管理法施行令によると「広告物の文字は原則的にハングル正書法、韓国語のローマ字表記法、および外来語表記法などに合わせてハングルで表示しなければならない」とされている。外国語の文字で表記する場合、特別なケースでなければハングルを併記しなければならない。ここで言う特別なケースとは、特許庁に登録された商標を意味する。
しかし、聖水洞一帯には韓国語の説明なしに「PIZZA BAR(ピザ・バー)」、「TACO GARAGE(タコ・ガラージ)」のように英語だけで構成されている看板がほとんどだった。英語だけでなく、日本語、フランス語などで書かれた看板も見られたが、ある20代の女性たちは英語とフランス語が入り交じったある店舗の看板を見て「香水のこと? ディフューザー?」と理解しにくいような表情を見せながら席を離れた。
城東区の関係者は「平均で週1回現場を確認し、ハングル表記をはじめとする規定違反広告物に対して啓導、是正命令、および履行強制金賦課などの行政措置を行っている」としながらも「壁面利用看板のうち4階より下階に設置されている表示面積5平方メートル未満の看板は許可や申告の対象外となっており、行政処分が不可能な例外規定などにより法的規制などの管理は容易でない」と説明した。
延世大学行政学科のイ・サムヨル教授は「消費者の間から英語看板で近寄りがたいといった問題が提起される恐れがある」とし「これは看板を理解できる人だけを受け入れるという文化事大主義的な発想」と指摘した。
イ・ミンギョン記者、チョ・ミンヒ記者