男子シングルの車俊煥はフリーで187.60点(1位)を出し、SP の94.09点(2位)を加えた合計を281.69点として優勝した。韓国男子フィギュア初のアジア大会メダルを金で飾ったものだ。世界第3位でアジア最強の鍵山優真(21)=日本=はSPで車俊煥に10点近く差を付けて103.81点を出し、よほどの番狂わせがなければ金メダルが確実視されていた。ところが、鍵山はフリーで最初のジャンプからつまずき、その後も何度も転ぶなど、ミスを連発した。結局、フリーは168.95点(3位)にとどまり、合計272.76点で車俊煥に金メダルを奪われた。車俊煥は逆転のために無理に高難度の技に挑むのではなく、確実で安定した演技を試みたのが勝利のカギとなった。車俊煥は「結果論だが、それも僕の努力の結果」「試合内容に満足している。後悔はないので、どんな結果でも関係なかった」と語った。
車俊煥はもともと、テレビCMやドラマなどに出演していた子役だった。演技に役に立つかもしれないと思い、小学校2年生の時にフィギュアスケートを始めたのが今日の活躍につながった。キム・ヨナがけん引してきた韓国女子フィギュア界に比べ、「不毛の地」と呼ばれた韓国男子フィギュア界で、車俊煥はパイオニアとしての役割を果たしてきた。2019年グランプリ・ファイナルで韓国男子初メダル(銅)、2022年四大陸選手権で初優勝、2023年世界選手権で初メダル(銀)などの業績を残してきた。2022年の北京冬季オリンピックでは5位に入り、韓国男子選手の歴代最高順位を記録した。最近は右足首のケガで振るわなかったが、今回の金メダルはさらなる高みを目指す足掛かりとなるだろう。兵役も免除されることになり、今後の活躍に弾みがついた。
キム・ヨンジュン記者、ハルビン=ヤン・スンス記者