24歳女優キム・セロンさんの悲劇…誹謗中傷コメントの弊害に韓国社会で自省の声

追悼と自省の声 広がる

 17日午後、ソウル市松坡区のソウル峨山病院葬儀場に設けられたキム・セロンさん(24)の祭壇には、「あの時、あの子は空の星になった」「来世でまた会いましょう。そのころまでには余計な声をなくしておくから」といったメッセージが書かれた花輪が置かれていた。キム・セロンさんはこの前日の16日、ソウル市城東区にある多世代住宅(低層の庶民的な集合住宅)で死亡しているのが発見された。9歳で映画『冬の小鳥』(2009年)に出演し、仏カンヌ国際映画祭で上映された最年少の韓国人俳優であり、映画『アジョシ』(2010年)では観客628万人を動員した才能ある俳優がこの世を去ってしまったことから、韓国社会のあちこちから追悼と自省の声が上がっている。

【写真】キム・セロンさん

 キム・セロンさんは2022年5月、ソウル市江南区で飲酒運転をして事故を起こし、翌年裁判所で罰金2000万ウォン(現在のレートで約210万円)を言い渡された。その後、芸能界への復帰を試みたが、世論は厳しかった。生活苦に陥り、カフェでアルバイトをする姿が伝えられると、インターネット上には「これまで稼いだお金が相当あるだろうに生活苦だなんて」などの誹謗(ひぼう)中傷コメントが一部の人々から寄せられた。しかし、キム・セロンさんは芸能活動で稼いだお金をすべて家族に渡し、元々住んでいたマンションも所属事務所を通じて借りていたものだった。

 本紙記者は17日、キム・セロンさんが亡くなっているのが発見されたソウル市城東区にある多世帯住宅を訪れた。路地は車が1台入るのも難しいほど狭く、あちこちにタバコの吸い殻がたまっていた。キム・セロンさんが住んでいた築35年の建物の中には、生前使っていたものと思われるピンク色のスーツケースが見えただけで、他には何もなかった。古びた鉄の門は閉ざされていた。

 動画配信サービス「NETFLIX(ネットフリックス)」シリーズ『ブラッドハウンド』(2023年)のヒロイン、チャ・ヒョンジュ役で再起を試みようとしたキム・セロンさんに対し、世論は「存在そのものが迷惑」「なぜ、もぞもぞと這い出てこようとしているの」などと冷たかった。スタッフは撮影を止め、キム・セロンさんは自ら降板した。その後、この作品がネットフリックス非英語圏国の週間視聴時間数1位になると、「『キム・セロン・リスク』を乗り越えた」と評された。

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  • ▲グラフィック=イ・ジンヨン
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