8年間も船に乗り続け、陸地に上がれなかった北朝鮮船員らと共に働いたとの証言も報告書に記載されている。北朝鮮船員らはこのように徹底して人権がじゅうりんされているが、互いに監視し思想教育に没頭しているとの証言もある。動画で金正恩(キム・ジョンウン)総書記の演説を見ることもあれば、北朝鮮船員たちが直立不動で国旗を掲揚し国歌を歌うこともあるという。
中国漁船の乗組員たちは多くがパスポートを取り上げられて船に乗り込み、船内では1日5-6時間しか睡眠が許されずひたすら作業に従事するが、北朝鮮船員たちはどの漁船でも特に経歴が長く、最も熟練しているという。これも仲間の船員たちの証言だ。またインドネシア船員は1カ月に約330ドル(約4万9000円)を受け取るが、北朝鮮船員の給与は北朝鮮政府に直接送金されているという。ただし一部の漁船では北朝鮮乗組員の給与から50ドル(約7500円)を天引きしているという。
環境正義財団代表のスティーブ・トレント氏は報告書の公表に当たり「不法操業と人権侵害は中国の遠洋漁船ではほぼ例外なく見つかるが、北朝鮮船員たちが長期にわたり苦しんできた強制労働は財団が突き止めた深刻な違法行為の中でも特に深刻なケースだ」と指摘した。
財団によると、2017-23年にインド洋南西部で操業していた中国漁船71隻から177件の不法操業や人権侵害などが発生、あるいは発生が疑われたという。
中国政府は今回の報告書には言及せず、遠洋漁船の活動は合法と改めて主張した。中国外交部(省に相当)の林剣報道官は24日のブリーフィングで「具体的な状況は分からないが、中国は原則的に遠洋漁業活動の際には現地の法律や国際法関連の規定を順守するよう求めている」「中国と朝鮮(北朝鮮)の関連分野での協力は全て国際法の枠に合わせて行われている」と述べた。これは「報告書の内容は国連制裁違反になる恐れがある」との質問に答えたもの。
リュ・ジェミン記者