「北朝鮮乗組員ら、中国のインド洋マグロ漁船で奴隷のように生活」 インドネシア人・フィリピン人船員らが証言

 外貨稼ぎのため中国の遠洋漁船に送られた北朝鮮船員らが奴隷のように搾取されていることが分かった。英国の環境団体が発行した報告書にこれらの証言が記載されている。報告書に記載された事例の中には、ある北朝鮮船員が10年にわたり船内で強制労働をやらされたケースや、8年にわたり陸に上がれず船に居続けたケースなどもあった。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権が外貨稼ぎ目的で自国民の人身売買を行う実情が明らかになったと言える。

【写真】操業中に負傷して治療を受ける北朝鮮乗組員

 英国ロンドンに本部を置く「環境正義財団(The Environmental Justice Foundation)」は22日、北朝鮮漁船乗組員の強制労働の実態が記載された「海に捕らえられた人たち:中国のインド洋マグロ漁船における北朝鮮の強制労働暴露」と題された報告書を公表した。

 報告書には2017-23年に中国の遠洋マグロ漁船に乗り込んだインドネシア人船員とフィリピン人船員の証言に基づくもので、主に同じ船に乗っていた北朝鮮船員についての内容だ。報告書には「10万人に達する北朝鮮の海外派遣労働者が向かう主な目的地は中国で、(中国の)遠洋漁船における北朝鮮労働者の実態が文書として公開されるのはこれが初めて」と記載されている。

 ソマリアやモーリシャス、オーストラリア周辺で操業する中国の遠洋漁船は定期的に各国の港に入港するが、北朝鮮船員らは港に行かず他の船に乗り換えるため陸には上がれないという。彼らがわずかでも陸地に上がれない理由は、国連安全保障理事会が2017年12月に北朝鮮の核開発に対する制裁として、全ての国連加盟国に北朝鮮労働者の雇用を禁じ、それまで海外で働いていた北朝鮮労働者たちも本国に送還させる決議が採択されたからだ。取り締まりを回避するため船主らは北朝鮮船員らを船の中にとどまらせたため、彼らは陸に上がれないというのだ。

 実際に2022年12月にはモーリシャスに停泊していた中国漁船の船長と北朝鮮船員6人が逮捕され、その後は取り締まりから逃れるため北朝鮮船員らを監禁するケースがさらに増えたという。これらも報告書に記載されている。

 北朝鮮船員らは携帯電話の所持も禁じられているため、数年にわたり家族と連絡を取れないことも調査で明らかになった。2022年末から昨年6月まで6人の北朝鮮船員と同じ漁船で働いたというインドネシア人船員は「1人のある北朝鮮船員は7年にわたり妻と1回も連絡できなかったと聞いた」と証言した。

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