宋奉燮(ソン・ボンソプ)元事務次長は忠清南道泰安出身で、忠清地域の選管での勤務を経て中央選管の幹部に進出した。18年に忠清北道選管が中途採用を進めるや、宋氏は同選管に電話をかけ、忠清南道保寧市庁に勤める娘を「善良で誠実だ」と「推薦」した。忠清北道選管は、宋・元次長の娘ただ1人を対象とする「非多数人競争採用」を行った。
ソウル選管は、同選管の元常任委員の息子(安城市公務員)を、資格要件を満たしていなかったにもかかわらずソウル選管公務員として採用した。慶尚南道選管は、当時の総務課長だった副理事官(3級公務員)の娘(宜寧郡公務員)を慶尚南道選管公務員として選ぶため、面接の点数を操作した。
京畿道選管も22年、傘下の果川市選管で事務課長を務めてちょうど定年退職した人物の娘婿が京畿道選管の採用に応募したことを知り、この娘婿を、資格がないにもかかわらず採用してやった。中央選管のある課長のおいは全羅南道選管に採用されたが、この課長はかつて光州市東区選管の事務局長を務めていて、光州・全羅南道地域の選管職員とは縁があった。忠清北道選管でも清州市選管の局長の子女、慶尚北道選管でも同選管の元書記官(4級)の子女を選ぶために、不正な手段が用いられた。
こうした幹部級の不正採用の相当数は、メディアの報道を通して知られる前に、既に内部で中央選管に告発投書が行われた。しかし中央選管の人事担当者らは、上司や地域選管の知人が関与したこれらの事件をきちんと調査せず、覆い隠した。
監査院は23年6月に選管の人事不祥事に対する監査を開始し、子女の採用の大部分において不正の状況を捕捉した。しかし事務総長・次長など選管の最高幹部らは「問い合わせの電話をしたことはあったが、採用の請託はしなかった」などと言って嫌疑を否認し、職員らも請託を受けた事実を認めなかった。
状況が変わったのは、監査院が昨年4月に中間発表を通して不正の状況を公開し、事件を検察に移した後だった。検察の捜査が始まると、不正採用に加担していた地域選管の職員たちが監査院に、幹部の不正請託や指示のことを具体的に話したのだ。監査院の関係者は「自分があらゆる罪をかぶる状況になるや、職員たちは先輩の不正行為を次々と証言した」と語った。
キム・ギョンピル記者