韓米が北朝鮮のミサイルを迎撃するために配備した防空システムである在韓米軍のパトリオットの砲台の一部を中東に移すことで合意したことが4日までに確認された。外交筋は「先月時点で韓米は砲台の一部を(中東に)移動させることで合意した」と明らかにした。トランプ米大統領がイエメンの反政府武装勢力フーシ派に対する空襲を強化する中で、米軍が空母カールビンソン、F35戦闘機などを中東地域に集中している流れに沿ったものだ。しかし、今回の「一時的循環配置」はトランプ政権が発足後、米国防総省と在韓米軍の役割調整を示唆しているタイミングで行われた。3日に本紙が接触したワシントンの韓半島専門家は「米国が韓半島に限らず、グローバル戦略の一環として韓国をとらえるという、同盟には意味深長な展開になりうる」と話した。同盟国に配置した戦力にも必要に応じていつでも手をつけることがありうるとの意味とも受け取れる。
地対空ミサイルであるパトリオットは迎撃高度が15~40キロで、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)や天弓-2(15~20km)などと共に韓米連合防空網を構成する核心だ。米軍は現在、PAC-2、PAC-3などを混合した12個の砲台を配置しているとされ、各砲台は烏山、平沢などに分散配置されている。韓国軍関係者は「基本的に米軍基地警戒用の性格が強いが、重要な迎撃システムを韓半島の外に循環配置するのは珍しいことだ」とした。NBCは3月30日、3人の政府高官の話として、「ヘグセス国防長官がアジアから中東に少なくとも2つのパトリオット砲台を移動させることを承認した」と伝えた。この時期、米空軍の戦術輸送機であるボーイングC-17(グローブマスターIII)15機以上が烏山空軍基地に着陸し、その後バーレーンに向かった航跡などがとらえられており、一連の見方が有力となった。軍事専門家は慶尚北道星州郡のTHAADが一部再配置される可能性にも言及したが、それは確認されなかった。
ヘリテージ財団アジア研究センターのブルース・クリングナー上級研究員は「北朝鮮のミサイルによる脅威に対する同盟の防御能力を低下させることにつながり、インド太平洋を優先視するというトランプ政権との公約にも反するため、重要な展開だ」と話した。そして、「北朝鮮は韓国を攻撃できる短距離、中距離ミサイル部隊を大幅に増強させた」とし、「それには核弾頭を搭載できるミサイルだけでなく、機動可能な弾頭を搭載した極超音速ミサイルも含まれる」と述べた。北朝鮮の核・ミサイルの暴走が続く中、在韓米軍の「柔軟性」と一部資産の韓半島以外への展開が北朝鮮などに誤ったシグナルを与えかねないとの指摘だ。
ハドソン研究所のアジア太平洋安全保障部長、パトリック・クローニン氏は「米軍の資産は特定地域に永久的に固定されているわけではなく、戦略的要求により最も必要とされるところに配置される可能性がある」としながらも、「韓米同盟の場合、再配置決定は連合司令部と政策立案者幹部の間で徹底的に調整されるべきだ。同盟には北朝鮮の攻撃を抑制できる能力があると確信しているが、アジア地域の軍事的均衡が変化しているため、慎重な検討が必要だ」と述べた。