中国の一帯一路、ケニア・セルビア・タイに手抜き工事を輸出

■鋼材も中国系企業が納入

 タイ現地では骨格に使われた鋼材に問題があったという報道が出ています。崩壊現場で鋼材標本を回収して調べた結果、2点の標本が品質基準をも満たしていなかったということです。

 鋼材を納品した業者はタイ現地企業ですが、大株主が中国人だそうです。タイ工業省は昨年末、同社工場で起きた火災事故を調査する過程で、同社が生産するコンクリート補強用棒鋼などが品質基準に満たないことを確認し、2441トンの不良品を押収したということです。この業者は一帯一路プロジェクトで、中国が建設した中国・ラオス高速鉄道の工事現場にも納品しているそうです。

 建物崩壊直後、現地の中国人職員4人が現場事務室に入り、ファイル32点を持ち出したことも議論を呼んでいます。資材納品台帳などを盗もうとしたということです。タイ警察は彼らを検挙し、問題の書類も押収しました。

 建物が数秒で崩壊したことを巡っては、構造設計に問題があったのではないかという分析も示されています。2023年に韓国のマンション新築現場の地下駐車場で天井が崩れた当時、議論になったフラットスラブ構造で施工された可能性があるということです。フラットスラブ構造構造は荷重を支える梁(はり)がなく、柱と天井を直接繋ぐする方式です。北京首都工程出身の建築技師は、中華圏のメディアのインタビューに対し、「タイ政府の耐震設計基準は震度6~7の地震に耐えられるように求めるものだったが、震度3~4程度で崩れたのは理解不能だ。構造設計に問題があった可能性がある」としました。

■セルビア、エクアドルでも手抜き工事疑惑

 一帯一路を巡る手抜き工事論争は今回が初めてではありません。昨年11月にはセルビア北部の都市ノビサドの鉄道駅で長さ48メートルのコンクリート製屋根が崩れました。中鉄国際と中国交通建設が合弁で古い駅を改装する工期3年の工事を進めましたが、工事終了から5カ月で事故が起きました。セルビアは東欧の代表的な親中国家です。中国側は崩れた屋根は改装の対象ではなかったと主張しましたが、セルビアでは反中世論が高まりました。

 2017年には中国海外工程がケニア西部ブシアに建設していたシギリ橋が崩れ、20人余りが負傷しました。この会社も国有企業である中鉄グループの系列でした。

 中国の国有企業が建設したエクアドルのコカコドシンクレア水力発電所とパキスタンのニールムジェルム発電所はタービンに水を供給するトンネル式水路に亀裂が多く見つかり、論議を呼びました。エクアドルは2021年、施工業者である中国水利水電建設をチリ・サンティアゴ国際商事仲裁委員会に提訴し、係争中です。2016年の竣工式当時、習近平主席が自ら出席したこのダムは、2023年までに確認された亀裂だけで1万7499カ所に達し、ダムの沈澱物除去システムも

崔有植(チェ・ユシク)記者

【写真】3月28日のミャンマー大地震で崩壊したタイ・バンコクの会計検査院新庁舎

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲写真=UTOIMAGE
  • 中国の一帯一路、ケニア・セルビア・タイに手抜き工事を輸出

right

あわせて読みたい