韓国の麻薬・ボイスフィッシング犯検挙実績、国会で「予算0ウォン」にされ今年に入り大幅下落

「捜査費が足りず、きちんと捕まえることができない」

 国会が検察の特活費・特経費を全額削ったことで、一線の捜査現場からは士気の低下を訴える声が出ている。こうした雰囲気は捜査関連の指標でも感知されている。例えば検察の家宅捜索令状の請求件数は、今年1月現在で254件。昨年の月平均424件と比べて40%減少した。今年1-3月のデジタル鑑識捜査官の現場支援件数(407件)と人員(695人)も、昨年の同じ期間(736件・1100人)に比べて大幅に減った。

 今年1月現在、麻薬事犯を検挙するために活用する偽装取引の試みは1件もなかった。偽装取引は、1件につき400万ウォン(現在のレートで約40万円。以下同じ)ほどの捜査費がかかるという。今年は特活費の削減で偽装取引に使える予算が一文も配分されなかった。昨年の検察による麻薬事犯検挙のための偽装取引は33件(月平均2.75回)だった。ある部長検事は「捜査官の間から『自腹で捜査が今年のトレンド』という自嘲も出ている」と語った。今年1月に検察は釜山の金海空港で麻酔薬「ケタミン」の密輸犯2人を検挙し、ソウル・仁川・京畿金浦などを渡り歩く共犯2人をさらに検挙した。ところが捜査官の食費などは、担当検事が私費で負担したという。

 昨年、韓国政府は、今年の予算案で検察の特活費・特経費として587億ウォン(約59億円)の予算を組んだ。しかし進歩(革新)系の「共に民主党」は「証憑(しょうひょう、証拠)書類が備えられていない」などの理由で全額を削って一方的に処理した。民主党は韓国警察庁の予算審査の過程でも、政権退陣要求集会に関連する警察の対応を問題にして「警察庁長が謝罪しないのなら(警察予算を)細かく問い詰める」と主張した。最終的に、今年の予算では警察の特活費も全額削られて0ウォンになった。逆に、高位公職者犯罪捜査処の場合、特活費1億1100万ウォン(約1120万円)、特経費4億1800万ウォン(約4210万円)が削減なしで政府案通りに通過した。

キム・ヒョンウォン記者、ユ・ヒゴン記者

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