中国軍ナンバー2が40日間動静不明…習近平主席の側近粛清説が再燃

 2013年の習主席就任以来、粛清された軍最高幹部は40人を超えています。直近の2年を見ても、苗華・政治工作部主任、魏鳳和、李尚福の両国防相長、李玉超ロケット軍司令員らが粛清されました。しかし、何氏は現役の軍部ナンバー2であり、共産党政治局員という点で地位が異なります。習主席は2014年の反腐敗運動当時、江沢民元主席の人脈である徐才厚、郭伯雄の両元軍事委副主席を粛清しましたが、両氏とも現職ではありませんでした。

■「派閥形成、情実人事で習主席の信任失う」

 何氏粛清の理由としては汚職問題が挙げられます。中央軍事委副主席2人のうち、張又侠氏は作戦を統括し、何氏は人事と政治工作を担当しています。中国軍には指揮官と対等な地位でけん制する政治委員がいます。軍の人事管理、党組織の建設、思想教育などを統括します。その頂点にいる人物がまさに何氏です。軍幹部の人事異動と昇進が彼の手にかかっています。中華圏のソーシャルメディアでは「何氏が3月11日、全人代閉幕直後に逮捕され、北京市、上海市、江蘇省などに保有している不動産の購入資金の出所などについて調査を受けている」との説が流れました。

 何氏は習主席が長く務めた福建省の第31集団軍出身で、福建幇(福建閥)の一員です。習主席は2023年に政権3期目をスタートさせ、台湾海峡を担当する東部戦区司令員出身の何氏を軍事委副主席兼政治局員に抜てきしました。党中央委員の身分でもなかった何氏を飛び級で昇進させ、党最高指導部の一員に引き上げました。念願の台湾侵攻を実現するための布石だとする分析もありました。

 何氏が東部戦区や第31集団軍を中心に派閥をつくったことが問題になったのではないかとする見方もあります。何氏が参謀長や副司令員を務めた第31集団軍は、福建省厦門(アモイ)に司令部を置き、東部戦区傘下の部隊です。去年粛清された苗華氏もこの部隊で政治部主任を務めました。今年3月、政協委員の資格を失い、粛清説が流れている唐勇・中央軍事規律検査委副書記も東部戦区出身です。アメリカの外交安保シンクタンク、ジェームズタウン財団は「何氏は人事管理と昇進人事の推薦過程で論議が少なくなかった」とし、「東部戦区出身者が分派を形成し、情実人事を行っていた事実が明らかになり、習主席の信任を失ったのだろう」と指摘しました。台湾侵攻を控え、軍の現代化と人材発掘のために大抜てきした側近が軍内派閥づくりに没頭すると、習主席の怒りを買ったのです。

崔有植(チェ・ユシク)記者

【写真】習主席から上将昇進の辞令を受け取る何衛東・東部戦区司令員(2019年12月)

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