進歩(革新)系の「共に民主党」に所属する李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補の公職選挙法違反事件を巡る大法院(最高裁に相当)の全員合議体(全合)の宣告期日が5月1日に定められたことで、宣告結果が最大の関心事に浮上した。李候補の有罪・無罪の確定など、全合がいかなる判断を下すのかによって大統領選挙の政局が大きく揺れ動きかねないからだ。法曹界では上告棄却、有罪趣旨の破棄差し戻し、破棄自判(大法院が自ら刑まで定めて最終判決)という三つの可能性が持ち上がっている。
【早わかり】3つのシナリオ「無罪確定」「破棄差し戻し」「破棄自判」
■「上告棄却」時には出馬・当選に問題なし
大法院がもし検察の上告を棄却して無罪が確定した場合、李候補は最大の司法リスクを脱する。大統領選レースでも順風に乗り、今の優勢を保つ可能性が高い。政界では、李候補が既に民主党候補に確定していること、各種世論調査で圧倒的優勢を保っていることなどを挙げ「大法院が上告棄却以外の判決をするのは容易でない」という見方が多い。
法曹界にも、2020年に当時の権純一(クォン・スンイル)大法官(最高裁裁判官に相当)が関与した李候補の選挙法違反事件判決を根拠に、今回も無罪の結論が出るだろう、という見方がある。部長判事出身の弁護士は「過去の李候補に対する大法院の判決で、有権者の保護よりも(大統領選候補の)表現の自由を優先視する側に重きを置いたので、今回も控訴審の無罪判断が維持される確率が高い」と語った。
李候補は2018年、京畿道知事選挙の過程で「実兄強制入院」疑惑などに関連して虚偽事実を流布した疑いにより公職選挙法違反に問われて裁判を受けたが、大法院は20年6月にこの事件を全合に回付した後、同年7月に無罪の趣旨で差し戻したことがある。
■有罪趣旨の「破棄差し戻し」の際は当選しても論争
二つ目の可能性は、有罪趣旨の破棄差し戻しとなるケースだ。この場合も、李候補の大統領選出馬は可能だ。文書の送達手続きなどにかかる期間を考慮すると、破棄差し戻し審の裁判部が大統領選前に確定結論を出すのは物理的に不可能、というのが法曹界の主な見方。だがこの場合は、残りの大統領選レースで候補の適格性などを巡って論争が予想される。ある政界関係者は「民主党内から候補交代の声が出ることもあり得る」と語った。