李候補が完走して当選したとしても、当選前に起訴されたこの事件の破棄差し戻し審裁判と宣告が可能かどうかを巡って論争が続くこともあり得る。韓国憲法84条は「大統領は内乱または外患の罪を犯した場合を除いては在職中に刑事上の訴追を受けない」と定めているが、法曹界では「訴追に該当するのは検察の起訴までのみ」「訴追には裁判も含まれる」などのさまざまな意見がぶつかり合っているからだ。高位の裁判官出身の弁護士は「無罪確定のために上告を棄却するようであれば、これほど急ぐ理由はない」とし「控訴審の判決は審理未尽あるいは法理誤解で破棄する可能性がある。特に、虚偽性の判断基準は有権者の常識に基づくべきなのに、(控訴審は)裁判官の認識にのみ基づいたという問題点がある」と語った。
■「破棄自判の可能性、排除できず」
一部の法曹関係者は、破棄自判の可能性も排除できないと語った。当初、全合の宣告時期は早くても5月7日から9日ごろになるだろうという見方が多かったのに、それよりずっと早く宣告期日が決まったことに注目すべきだという趣旨だ。韓国外大ロースクールの李昌玄(イ・チャンヒョン)教授は「5月8日が最有力の宣告日とみていたが、予想を覆して1日が宣告期日に決まったことで、破棄の可能性も高まったと思う」とし「大統領選候補登録日は5月10・11日だが、1日に大法院が被選挙権剥奪刑を確定させるのであれば、民主党の立場からも混乱を収拾する時間を持つことができるからだ」と語った。破棄自判で李候補に罰金100万ウォン(約9万9000円)以上の刑が確定すれば、李候補は被選挙権が剥奪されて大統領選に出馬できなくなる。この場合、民主党は大統領選候補を再度決めなければならない。
■与野党で相次ぐ反応
大法院が李候補の事件の宣告期日を指定したことを受け、韓国政界では反応が相次いだ。李庸宇(イ・ヨンウ)民主党法律委員長は「上告審は法律審で、事実判断をするところではなく、控訴審と異なる判断をするには宣告期日があまりにも迅速に指定された」とし「上告棄却判決を期待している」と語った。逆に保守系の旧与党「国民の力」の申東旭(シン・ドンウク)首席スポークスマンは「今回の宣告は李候補の有罪・無罪を選ぶというレベルを超え、韓国の民主主義の根幹を正しく打ち立てること」だとし「いかなる権力も法の上に立つことはできないということを(大法院が)はっきりと示してやらねばならない」と述べた。
キム・ヒレ記者、キム・ナヨン記者