「国民の力」予備選で勝ったのに党指導部に引きずり降ろされた金文洙、党員投票で公認候補に復活 韓国大統領選

[6・3大統領選挙]国民の力、未明に候補者交代の動き…党員が1日で「待った」

 このような中でARS調査により行われた党員投票も「流れが尋常でない」との声が出始めた。議員や院外党協議委員長らの間から「大統領選候補の強制交代だと?」「党内クーデターだ」などと反発が強まり、反対票を投じる党員が増えたのだ。その過程で権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長は10日午前11時に会見を開き「『泣いて馬謖(ばしょく)を斬る』の思いでつらい決断を下した」と説明し、韓悳洙前首相も午後3時30分に国民の力本部を訪れ「国民と党員の皆さまに申し訳ない」との考えを伝えたが、反発は収まらなかった。金文洙候補に対して韓悳洙前首相との一本化を求め断食を続けていた同党の金武星(キム・ムソン)常任顧問も「こんな形で候補者を交代するのは非民主的だ」として反対に回った。金文洙候補と争った別の候補者らも、例えば韓東勲前代表は「北朝鮮でもこんなことはしない」、安哲秀(アン・チョルス)議員は「執行部による蛮行」、洪準杓(ホン・ジュンピョ)元大邱市長は「候補の略奪交代だ」などと批判した。

 このような中で10日夜11時、国民の力非常対策委員会で党員投票の結果を確認したところ、「候補者交代」について「反対」が「賛成」をわずかに上回り、候補者交代案件は否決された。また今月7日に党員を対象に行われた調査では回答者の82.8%が候補者一本化に賛成していた。この結果、金文洙候補は国民の力大統領選候補の資格を回復し、権寧世非常対策委員長は「一本化を実現できなかったことは非常に残念だが、これもまた私が至らなかったからだ」として非常対策委員長を辞任した。国民の力執行部を中心に進められた候補者交代作業は党員らの反発で約24時間後にとりやめとなった。

 この結果を受け金文洙候補は10日夜に声明を出し「今後は全て元の位置に戻るだろう」とした上で「直ちに選挙対策委員会を発足させ、ビッグテントを立てて反・李在明(イ・ジェミョン、共に民主党の大統領選候補)戦線を構築したい」との考えを示した。韓悳洙前首相陣営も「国民と党員の意向を謙虚に受け入れたい。金文洙候補と国民の力の勝利を心から希望する」とコメントした。金文洙候補は今月3日に候補者に選出されてから1週間で交代の危機から復活し、韓悳洙前首相は首相辞任後の大統領選挙出馬宣言から8日後に立候補を取り下げた。

李世永(イ・セヨン)記者

【写真】両手の拳を握りしめる与党・国民の力の金文洙大統領選候補

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