陸海空軍全ての分野で韓国軍よりぜい弱と評価されていた北朝鮮の通常戦力が、全体的に向上しつつあるのだ。韓国国防安保フォーラムのオム・ヒョシク事務総長は「かつては北朝鮮が非対称戦力の核を中心に武器システムを発展させた。通常戦力において韓国とは相手にならないので、非対称戦力で体制保全をもくろんだと評されていた」「だが北朝鮮は今や、通常戦力でも南側に引けを取らず、時には圧倒するということを公に見せる姿勢へと変わった」と語った。一部からは、北朝鮮の通常兵器の能力向上で局地挑発の可能性が高まったという分析も出ている。現在北朝鮮が優位を占めている核・ミサイルは戦略兵器なので、簡単には使えないが、通常兵器なら全面戦ではない局地挑発をすることができるのだ。
ただし、金正恩総書記が推進している通常兵器の現代化にどれくらいかかるのかを巡っては、意見が分かれている。韓国軍のある元将官は「韓国軍の場合、全ての兵器を国産化する必要はなく、米国など友邦から輸入するケースが多く、まだ通常兵器の優位はあると見ることができる」としつつ「だが金正恩の指示に伴って北朝鮮の急激な通常戦力現代化が進むのであれば、2-3年以内に幾つかの分野での脅威も考えてみるべきかもしれない」と語った。反面、峨山政策研究院の車斗鉉(チャ・ドゥヒョン)副院長は「朝ロ密着がしばらく続くとしても、北朝鮮が韓国と互角に通常戦力の均衡を保とうと思ったら5年から10年はかかると推定される」と語った。
北朝鮮の経済力を考慮すると、通常兵器の現代化戦略は北朝鮮の経済全体に悪影響を及ぼすだろう、という分析もある。梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「北朝鮮が非対称の兵器として核・ミサイル開発に乗り出したのは、通常戦力の軍隊開発を諦め、その資金を経済開発に使おうという趣旨だった」とし「核・ミサイルに通常戦力の拡大まで加えたら、北朝鮮の経済全体が耐えられない水準になるだろう」と語った。
梁昇植(ヤン・スンシク)記者、ヤン・ジホ記者