「韓国の投票システムは手続きの透明性が保障されていない。有権者は常に疑問を投げかけてきたが、政府と中央選挙管理委員会は閉鎖的な態度を変えないため制度に対する信頼性は低い。今後は変化が必要だ」
5月25日に来韓した米国の国際選挙監視団(U.S. Election Monitoring Delegation)は口をそろえてこのように強調した。監視団は第21代大統領選挙を前に韓国の選挙システムを監視するため来韓した民間団体で、▲モース・タン元国際刑事司法大使▲ジョン・ミルス元米国防総省サイバーセキュリティー政策局長▲グラント・ニューサム元米海兵隊戦略将校▲ブラッドリー・テイアー・シカゴ大学政治学博士―などさまざまな分野の専門家で構成されている。韓国の選挙を直接観察し、選挙における手続き面での公正性を検証し、国際社会に向け報告書を公表することが彼らの目標だ。
【写真】期日前投票で2度投票した疑いが持たれている選挙事務員の女
5月29日から2日間にわたり行われた期日前投票も疑問の声が相次いでいる。投票日初日にはソウル市西大門区で投票用紙が投票所の外に持ち出される事態が発生し、江南区では夫の身分証で代理投票を行った契約職公務員が拘束された。京畿道富川市と金浦市では2024年4月の総選挙の投票用紙が発見され、選挙管理委員会のずさんな対応が改めて問題になった。また国民の力の張東赫(チャン・ドンヒョク)選挙対策委員会状況室長は5月30日「選管が発表した期日前投票者数と実際の投票者数に違いがある」と発表した。
5月31日にチョソン・ビズとのインタビューに応じた監視団は、韓国の選挙制度について「閉鎖性を見直し、手続きの透明性確保に向け直ちに改善を進めるべきだ」と主張した。韓国の選挙制度については以前から数々の疑問が提起されてきたが、改善は全く進んでいない。そのため監視団は「選挙システムに対する国民の信頼は深刻なレベルまで落ち込んだ」との評価を下している。以下は監視団との一問一答。
-国際選挙監視団について紹介してほしい。いつ発足し、韓国訪問はどのように決まったのか。
モース・タン(以下、タン)「国際選挙監視団は2024年末から活動に向けた議論が始まり、今年3月末に結成された民間の監視団だ。韓国の民主主義が一層強固になることを願う思いから韓国訪問を決めた。韓国は米国の重要な同盟国であり、中国と北朝鮮の情報戦が集中する戦略的要衝でもある。韓国で民主主義が破壊されれば、その影響はアジアはもちろん国際秩序全般に及ぶ可能性が高い。そのため国際社会は今、韓国の選挙システムに大きく注目する必要がある。また中国共産党の干渉、選挙への信頼性低下などの問題は米国でも起こりかねない。そのため一層厳密に見守る必要がある」
グラント・ニューサム(以下、ニューサム)「2020年の韓国総選挙について深く研究した。最初は問題があるとは考えていなかった。ところが調査を進めると選挙過程で正常とは言えない事例が数多く見つかった。統計的にあり得ない開票結果、郵便投票の配送記録不一致、あり得ない早さの投票経過発表など、深刻な事例も目の当たりにした。そのため22年の大統領選挙や24年の総選挙も監視を行った。今後は変化が必要との思いから韓国に直接来ることになった。