野球は記録のスポーツであり、記憶の物語でもある。過去25年間、つまり21世紀に入ってメジャーリーグ(MLB)を輝かせた選手は誰なのか、それを選出する作業は単に数字を数える労働ではない。時代を貫いてきたトップスターたちの顔を一人ずつ呼び起こす儀式に近いのだ。
【グラフィック】「21世紀のMLBオールスター」に選ばれた全選手
米国のスポーツメディア「ジ・アスレチック」は、ファン(正確には有料の読者)1万2000人以上を対象に「クォーター・センチュリー・チーム」アンケートを実施し、今月3日にその結果を発表した。対象は2000-2024年のMLBを代表する選手たちだ。選出基準には成績、受賞実績、象徴性が全て含まれている。しかし結果を左右したのは、野球ファンたちが胸の中で大切に守り続けている残像だった。
最も激しい争いが展開されたポジションの一つは、指名打者(DH)部門だ。大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は45.6%の支持を集め、デビッド・オルティーズ(37.6%)を抑えた。オルティーズは通算531本塁打、ワールドシリーズ3回優勝という記録を残したが、ファンたちは現代では不可能と思われた「投打二刀流」を現実の世界で実現した大谷に軍配を上げた。大谷は21年と23年にアメリカン・リーグのMVPを受賞し、24年にはメジャーリーグで初めて50本塁打50盗塁を記録した。ジ・アスレチックは「オルティーズは本塁打で歴史を作ったが、大谷は存在自体で野球の定義を変えた」とつづった。