「公布日から施行」「施行当時の大統領にも適用」 本当に恥ずかしい刑事訴訟法改正案【朝鮮日報コラム】

民主党12議員の「大統領裁判中止法」
米国でも与党が法を改めたことはない
猶予期間なくすぐに適用するだなんて
自己免罪、本当に恥ずかしくないのか

 しかし、これは誤解だ。なぜならば、裁判は責任の追及ではないからだ。裁判とは、検察が提起した責任の追及(起訴)あるいは国会が提起した責任の追及(弾劾訴追)の是非を問うだけだ。従って、憲法に設計された責任追及構造は「被告人李在明」の裁判とは関連がない。

 彼らは、改正案の趣旨説明で「大統領の権威を確保し、国家の体面を維持すべき」と語った。そういう部分もなくはないだろう。しかし大統領が、裁判中止法のような恥ずべき自己免罪の立法例を仕方ないふりをして受け入れることも、国家の体面をおとしめることになる。

 米国憲法には、大統領に対する明示的な免責規定がない。ただ、トランプ大統領については特別検察官が「大統領の円滑な職務遂行」を理由に起訴を取り下げたに過ぎない。裁判所が裁判を無期限延期したり、与党が法律を変えようとしたりするのとは違う。

 米連邦最高裁は、大統領の在職中の公式行為について免責を認めているが、非公式行為や在任前の行為への適用は限定的だ。これを韓国に援用すると、「在職中の公式行為」は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の非常大権発動のようなもので、「非公式行為や在任前の行為」は、李大統領の12の容疑が該当する。論理展開が危うくなる。

 大抵の場合、法律の改正案には「法施行後に公訴が提起された事件から適用する」というような経過措置、あるいは「6カ月後に施行する」というような猶予期間を置く。しかし民主党の刑事訴訟法改正案は、付則1条で「公布した日から施行」、2条で「法施行当時の大統領にも適用する」とされている。本当に恥ずべき付則と言うほかない。

 なお、詩では、草は風より先に横になったが、風より先に起き上がった。

金侊日(キム・グァンイル)記者

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