露天商は中国人アルバイト? 明洞で横行する露天カルテルの実態 /ソウル

 「タンフル、ハオツ(好吃、おいしい)。」「チョンハオカン(真好看、本当にかわいいです)!」

 6月7日午後8時、ソウル市中区明洞の中心街に位置した明洞通りに220店に上る露店が500メートル近く並んでいた。あちこちで中国語で客引きする声が絶えず、まるで中国の夜市であるかのようだった。中国人アルバイトが韓国の歌謡を中国語で歌ったり、お客さんに近づいては中国語で「安いです!」と声を掛けたりしている。彼らのほとんどは「私は社長じゃない。社長は出てこない」「露店は私が開け閉めしている」と話す。

【図表】明洞で露店の運営指針に違反している露店の数

 ソウル市中区は2016年から露店を実名制で運営するよう呼び掛けている。1年に約90万ウォン(約9万4000円)で道路占用許可証を発行する代わりに「1人1店舗」「本人直接運営」「隔日制運営」などの条件を掲げた。収入が少ない生計型露店商を保護し、1人のオーナーが複数の露店を運営する企業型露店をなくすという趣旨だった。

 今年基準で中区に登録された露店は348店舗だ。隔日制運営の原則によると、1日に営業可能な露店数は最大で174店舗だ。しかし、先月末から最近まで明洞を訪れたところ、営業中の露店は223店舗に上っていた。このうち30店舗(13.4%)は、社長が常駐せずに職員を別途雇用して運営されていることが分かった。19店舗は韓国人ではない、中国人など外国人のアルバイトが常駐していた。

 本紙は、これらの露店が現金口座振替のために明記している銀行の口座番号と預金主の名前を収取し、比較してみた。二つ以上の露店で同じ預金主の名前が掲げられている露店が41店舗(18.3%)に上った。最大で四つの露店の預金主が同じというケースも見受けられた。彼らは口座番号が書かれた案内板を普段は隠しておき、決済の際に顧客にこっそりと見せる手口で預金主が判別できないようにしていた。

 露店を運営するにはどうすればいいか、10人の露店商に聞いてみた。すると、「外部の人には不可能だ」「紹介してもらえなければ入れない」という答えが返ってきた。露店運営歴10年のA氏は「むやみに部外者に渡すようなことはしない」とし「親戚や家族、親しい知人からお金を受け取って運営を任せる」という。明洞の露店の構造について詳しい周囲の業者たちは、口をそろえて「区に道路使用料として年に90万ウォンだけを支払い、上りとして数十倍を受け取る構造」とし「1億ウォン(約1050万円)以上の年商を上げる一部商人を中心とした『露店カルテル』が幅を利かせている」と語った。

 ソウル市中区は昨年、明洞の露店の約80%を対象に事業者登録とカード端末機を導入するよう促した。ぼったくりや現金決済の強要、不親切などのレビューが拡大したことで、中区が講じた対策だった。当時、中区は「『大韓民国観光1番地』という名声を取り戻し、信頼を回復しようとする次元」と説明していた。しかし、本紙が先月29日夕、明洞通りの露店223店舗にカード決済ができるかどうかを尋ねたところ、約25%(55店舗)が「現金決済のみ可能」との回答が返ってきた。カード端末機が設置されている露店も「1万ウォン(約1050円)以上を購入したときのみカード決済が可能」と答えた。同日、粉食(プンシク、小麦粉を使った料理)を扱っている露店でトッポッキと串に刺したおでんを9000ウォン(約950円)で買った男性客がカードを差し出すと、店主は「カードではなく、口座振替で」と口座番号の書かれたプレートを差し出した。

 登録露店は道路占用許可を得て以降は、本人が直接運営しなければならない。しかし本紙がオーナーや近隣の不動産に取材した結果、1億-2億ウォン(約1050万-2100万円)相当の権利金で店舗を譲ったり、毎月150万-300万ウォン(約15万8000-31万6000円)で賃貸する「賃貸業」も行われていた。事業者登録した事業主が他の借家人に露店を賃貸し、この借家人が再び外国人アルバイトを雇用して運営を任せるなど、露店一つの運営が「数段階」にわたって行われているというのだ。

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  • ▲5月22日午後、ソウル市中区明洞通り。中国語の看板が掲げられた露店の前に観光客が集まっている。写真は記事の内容と直接的な関連性はない。/チャン・ギョンシク記者
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