イランの核施設を空爆した米国が北を空爆できない理由とは

トランプ大統領がイランを攻撃

軍事面で除去する時期は事実上逃す

 1993年に北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)を脱退して始まった第1次北朝鮮核危機当時、米国のクリントン政権(当時)はステルス爆撃機や巡航ミサイルのトマホークなどで北朝鮮の核施設をピンポイント攻撃する計画を検討した。これは韓国政府の反対で撤回されたが、それだけ米国国内では当時から北朝鮮の核問題解決への意志が強かった。その後韓国では政権が変わるたびに対北朝鮮政策が強硬と融和で揺れ動き、これが韓米関係にも影響した。李容濬(イ・ヨンジュン)元外交部北核大使は「1990-2000年代の初めまで米国は民主党・共和党に関係なく北朝鮮の核問題解決に前向きだった。しかし北朝鮮が2006年に1回目の核実験を行い、2017年に6回目の核実験を行ったことで核兵器を大量生産できる段階に事実上至ったため、米国の対北朝鮮政策は『現状維持』に変更された」と説明した。

 米国の対イラン政策も政府が共和党か民主党かによって「圧力」と「交渉」で揺れ動いたが、中東の主要国が「イランの完全な非核化」を求めたため、米国は政策の一貫性を維持し方針が定まったとの見方もある。特にイスラエルは米国国内の反対にもかかわらず、イランの核開発阻止に向け軍事的な手段もためらわなかったため、米国を引き込むことに成功したようだ。西江大学のソン・イルグァン教授は「米国によるイラン空爆はイスラエルの強硬策から影響を受けたようだ」「イスラエルが積極的に動いていなければ、米国も空爆まではできなかっただろう」との見方を示した。イランの核開発を容認した場合、中東での核拡散ドミノを防ぐのが難しくなる点も考慮された。

 中国とロシアが北朝鮮の「後見人」となっている点も北朝鮮の核問題解決を難しくしているようだ。米国による今回のイラン核施設攻撃に対してトルコやサウジアラビアなど中東の主要国は反発していない。これに対して中国は北朝鮮の非核化には賛成しているが、その一方で北朝鮮制裁については緩和を主張している。ウクライナを攻撃したロシアは北朝鮮から兵士や武器の支援を受けるなど、準同盟の関係を築いている。

 金聖翰(キム・ソンファン)元国家安保室長は「北朝鮮の金正恩総書記は米国によるイラン空爆を鋭意注視し、米国への対応戦略を検討しているはずだ」「北朝鮮はすぐに米国と交渉するよりも、ロシアや中国との連携を深め核兵器やICBMなど核攻撃手段の高度化に力を入れる可能性が高い」と予想している。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者、ワシントン=朴国熙(パク・ククヒ)特派員

【グラフィック】米国によるイラン核施設の空爆

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