趙垠奭(チョ・ウンソク)内乱特別検察官(特検)のチームと尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領側が「逮捕状」を巡って熾烈(しれつ)な駆け引きを繰り広げた末、尹・前大統領側がひとまず1勝を挙げた。
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内乱特別検察官チームは最近、捜査開始とともに尹・前大統領に対して出国禁止措置を取ったのに続き、24日に逮捕状まで請求した。しかし裁判所は25日、尹・前大統領側の「特検の出頭要求には応じる計画があったのに、召喚の通知が一度もないまま令状を請求するのは不当」という主張を受け入れて逮捕状請求を棄却した。内乱特検チームの関係者は「尹・前大統領側に、今月28日午前9時に出頭して取り調べを受けるよう通知した。召喚に応じなければ逮捕状の請求を検討したい」と語った。
逮捕状請求棄却の直後、尹・前大統領側は「特検の捜査が法律の枠内で公正に行われることを求める」としつつ「尹・前大統領は特検の召喚要請に堂々と応じるだろう」とコメントした。
■逮捕状を巡る激しい駆け引き、特検が1敗
趙特検は今月24日、尹・前大統領に対する逮捕状を請求する際、「(尹・前大統領は)今月5日と12日に警察が行った出頭要求に応じず、特検の捜査開始後の19日にも警察の出頭要求に応じなかった」「これは、特検の召喚にも応じるつもりはないという意思を明確に示すもの」だとした。別途の出頭要求なしに逮捕状を請求する理由をこのように明かしたのだ。
これに対し尹・前大統領側は「特検と警察は明白に別個の捜査機関であって、警察の段階における出頭要求を援用して逮捕状を請求するのは妥当ではない」「特検の召喚には応じる計画だった」と切り返した。
これを巡り、法曹界からは「“特捜通”(特別捜査部出身)の二人の駆け引きが本格化した」という声が上がった。尹・前大統領側については、現行法上の逮捕状請求の要件を揺さぶって裁判所が令状請求を棄却するように誘導した、という評価が出た。法曹界のある人物は「警察の捜査が違法だと終始主張してきた尹・前大統領側が、特検の捜査は受ける計画だったと表明したことで、召喚を一度もやらない特検の立場が難しいものになったのだろう」と語った。