6月19日に発表された李在明(イ・ジェミョン)政権初の民生安定対策である個人債務免除・調整政策を巡り、金融業界周辺では「逆差別」論争が絶えない。
債務を全額免除される人は延滞情報が完全に削除されるのに対し、借金を一部だけ免除され、残る債務を少しずつ返済する人の延滞情報は残ることになる逆差別が代表的だ。債務の完全免除を受け、延滞情報が削除されれば、融資やクレジットカード発行などが正常に行われるが、部分免除で延滞情報が残れば、正常な金融取引が難しいこともありうる。
【表】歴代政権との比較にみる李在明政権「個人長期延滞債権債務調整プログラム」
わずか一日二日の差で債務調整の恩恵を受けられない「死角」が発生することも懸念されている。今後政府の債務調整は大きく分けて二つの方向で進む。▲2018年6月以前に延滞が生じ、まだ返済できていない長期延滞に対する債務調整▲コロナで自営業者が本格的に苦しみ始めた2020年4月以後に発生した負債に対する債務調整――だ。このため、2018年6月下旬以降の空白期間に延滞が生じた借金は債務調整の対象から除外される。
金融当局は「全ての人を満足させる方策はない」との立場だが、国会予算政策処は「公平性(への配慮)、死角の最小化に向け、事業設計の補完を検討する必要がある」と指摘した。
■一部免除者の延滞履歴は残る
金融委員会などによると、李在明政権の「個人長期延滞債権債務調整プログラム」では約113万4000人が恩恵を受けると試算されている。5千万ウォン以下の借金を7年以上延滞し、1人当たりの月収が約143万ウォン(所得中央値の60%)を下回るか、個人再生・破産などで借金を返済できないケースで債務を全額免除する。それよりもやや収入が多い場合には、債務を最大10年に分けて返済するか、最大で元金の90%まで免除し、残りを返済させる構想だ。 当局は対象者113万4000人のうち半数は全額免除、半数は部分免除の対象になるとみている。
問題はこの過程で借金の部分免除を受け、少額でも返済していく人の場合、債務調整履歴がそのまま残る点だ。「信用情報の利用·保護に関する法律」によると、延滞関連情報は信用情報院システムに7年間残る。しかし、もし債務を全額免除すれば、免除を受けたという履歴も残らない。融資やクレジットカードの発行など金融取引に対する制約も同時になくなる。
それに対し、全額免除者よりも経済環境がやや良好であるがゆえに借金の一部免除しか受けられない人は債務調整履歴がシステムにそのまま残る。市中銀行幹部は「銀行は延滞中という情報を活用せざるを得ないため、貸出金利を高く設定したり、カードの使用限度を抑えたりして、対処する可能性がある」と説明した。こうした論議に対し、金融当局は9月までに逆差別問題に対する詳細な対策を立てるとした。