まだトランプ氏にも会えていないのに…北京から届いた「抗日戦争勝利80年」記念軍事パレード招待状に頭を痛める李在明政権

米中間で試される実用外交

 中国政府は9月3日に北京で予定している「対日戦争勝利記念日」(以下、戦勝節)80周年を祝う軍事パレードに李在明(イ・ジェミョン)大統領を招待している。韓国大統領府が2日に明らかにした。韓国大統領府は「李在明大統領の戦勝節出席については中国側と協議を行っている」「具体的な内容はまだ明かせない」とコメントした。

【写真】「抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典」に出席した朴槿恵大統領(2015年9月3日)

 韓国外交部(省に相当、以下同じ)によると、李在明政権発足後、中国政府高官として1日に初めて来韓した中国外交部の劉勁松・アジア局長も韓国外交部の姜英信(カン・ヨンシン)東北・中央アジア局長に招待の意向を伝えた。これまでロシアやベラルーシなど主に社会主義諸国の首脳らが出席してきた戦勝節に自由民主陣営である韓国の首脳を招待し、宣伝効果を高める意図があるとみられる。

 米国のトランプ大統領との首脳会談が実現する前に戦勝節を理由に李在明大統領が訪中の要請を受けたことで韓国政府は対応に頭を痛めているようだ。韓米日協力を維持しながら中国・ロシアとの関係改善も同時に模索する李在明大統領の「実用外交」が早くも試される状況となった。

■韓米首脳会談実現前に中国から招待状、頭を痛める韓国政府

 韓国の新しい大統領が決まった6月3日以前から中国政府は韓国大統領の戦勝節出席の必要性を訴えてきたという。中国政府は正式な招待文書を送る前から学術大会や大使館主催行事、さらには実務担当者による協議などでもこの問題を取り上げてきた。韓国のある外交筋は「実用外交を掲げる李在明大統領が外交政策において前政権とどこまで差別化できるか、中国側にはこの点を確認する意図があるようだ」との見方を示した。

 李在明大統領は就任7日目の6月10日に習近平国家主席と初めて電話で会談したが、この時も習主席は戦勝節出席と訪中を直接要請したという。中国は米国にもトランプ大統領の戦勝節軍事パレード出席を打診しているという。韓国政府は当初「トランプ大統領がパレードに出席する可能性は低く、また米国の中国けん制方針などを考慮すれば、李在明大統領の出席も難しい」と判断していた。

 それでも1日に行われた韓中外交当局による局長級の会議で中国側は改めてこの問題を取り上げた。中国政府は今回の戦勝節80周年について「10年ごとの節目であり、習主席の3期連続在任期間中に行われるため、できるだけ多くの国の首脳を招待したい」と考えているという。中国外交部の毛寧報道官は2日「今年は中国人民による抗日戦争と世界の反ファシスト戦争勝利80周年のため、盛大に記念行事を行う予定だ」とした上で「各国と引き続き連絡を取り合っている」と明らかにした。これは「戦勝節記念行事に李在明大統領は出席可能か確認したのか」との質問に答えたもの。

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  • ▲グラフィック=梁仁星(ヤン・インソン)

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