李在明大統領とトランプ大統領との首脳会談の日程が決まらない状態で戦勝節出席を求める中国政府の圧力に対し、韓国政府は負担を感じているようだ。韓国と米国の政府当局は当初、今月末にワシントンでの韓米首脳会談実現に向け交渉を続けてきたが、最近は8月以降に先送りされる可能性もささやかれている。英国の複数のメディアによると、トランプ大統領は今月末にスコットランドを訪問し、自らが所有するゴルフリゾートなどを視察する予定だという。
10月末から11月にかけて慶州で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議も影響しそうだ。韓国大統領府は「APEC首脳会議を通じた韓中関係の発展」という共通認識に基づき中国側とやりとりを行っており、韓国政府はAPEC首脳会議に習主席をすでに招待している。APECは米国、日本、オーストラリア、中国、ロシアなど主要国首脳が全て出席する会議で、習主席が出席する可能性についてもある韓国政府筋は「非常に高い」と伝えている。もし習主席の来韓が実現すれば、朴槿恵(パク・クンヘ)政権当時の2014年以来となる。
一国の首脳が交代で相手国を訪問することは外交慣例だが、習主席は2014年以降は韓国に来ていない。しかし韓国からは朴槿恵元大統領(15年)と文在寅(ムン・ジェイン)元大統領(17年・19年)が中国を訪問した。とりわけ15年の中国戦勝節70周年軍事パレードには西側各国首脳が参加を拒否したにもかかわらず、朴槿恵元大統領は自由民主主義国の首脳として唯一出席したため、国内外で大きな問題になった。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は「次は習主席が韓国に来る番だ」として中国政府からの招待を受け入れず訪中を先送りしたため、両国の相互訪問は中断した。その際に尹錫悦政権は今回韓国で開催されるAPEC首脳会議を通じて習主席の来韓は実現可能とも判断していた。ところが韓国で先に政権が交代したため、中国はAPECの2カ月前に行われる戦勝節関連行事に李在明大統領を招待したのだ。韓米首脳会談の実現が見通せない中、中国は戦勝節とAPECを口実に李在明大統領が先に中国を訪問するよう誘導しているようだ。
上記の韓国政府筋は「過去の事例、韓中関係、韓米関係などを総合的に検討した上で、李在明大統領が(戦勝節に)出席するか決めたい」としている。別の外交筋は「習主席のAPECでの来韓は中国がAPEC加盟国であるからだ。李在明大統領の戦勝節出席とは別問題だ」として一線を画した。これに対して梨花女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「戦勝節への中国からの招待で李在明政権の実用外交がNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に続いて試されることになった」「APECと戦勝節は確かに別の問題だが、韓国政府にとって負担になるのは間違いない」とコメントした。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者