ドッペルゲンガー? 中国旅客機C919、部品点数30万個超の仏エアバスA320を完コピして誕生か

■「技術格差を縮めようとだまし取引」

 ドボー氏も事実関係を認めつつ、「(中国は)事実上、飛行機の部品を理解し、最大限同じものを複製するために旅客機を購入していった」と証言しました。M6はこのドキュメンタリーの中で「中国は数十年遅れている航空分野の技術で短期間で追いつくため、だまし取引をした」と指摘しました。

 M6によれば、エアバスはそうした事実を現在でも認めていないということです。ドボー氏は「中国は巨大な市場であり、良好な関係を結ぶ必要があった。エアバスの最高経営責任者(CEO)や大統領、外相は、そんな問題を提起しても何の役にも立たないと考えたのだろう」と語りました。

 当時エアバスは100機以上の旅客機を中国に販売する取引を進めていて、天津にA320の組立工場を建設する計画も協議中でした。旅客機失踪問題で混乱を引き起こしたくはなかったのです。ジュイエ氏は「我々はエアバス経営陣に中国に組立工場を建設すれば、部品をはじめ全てをコピーすると警告したが、エアバス側は『しっかり管理するから心配するな』と言った」と振り返りました。

■「中国製旅客機がEVの二の舞いに」と懸念

 C919は中国の国内航空会社が計18機を運航していますが、2028年までにはその規模は150機まで増える見通しです。まだ米連邦航空局(FAA)と欧州航空安全機関(EASA)の認証を受けておらず、国際線の運航はできませんが、中国国内だけでも需要が十分です。

 M6はC919が欧米で運航許可を得るのも時間の問題だろうと予想しました。C919は翼や胴体などは独自生産していますが、航空機エンジンや航空電子装備、運航システム、ランディングギア、飛行記録装置などの重要部品は、欧米のメーカーから供給を受けています。

 欧州各国でも比較的中国と良好な関係にあるフランスでA320失踪事件が取り上げられているのは、中国の産業スパイ活動と技術窃取をさらに放置すれば、自国の産業基盤が危うくなりかねないという認識があるためとみられます。市場を確保するために、中国の意向に同調していたエアバスは、自社技術をコピーして開発された中国のC919と激しい受注競争をしなければならない状況になったのです。キャピタルは「C919がEASAの認証を得ることになれば、中国製電気自動車(EV)のように欧州連合(EU)の悩みの種になるだろう」と懸念しました。価格競争力を武器に欧州で市場シェアを攻撃的に伸ばしてきた中国製EVのように、中国製旅客機がエアバスの基盤を根底から揺るがしかねないからです。

崔有植(チェ・ユシク)記者

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