趙垠奭(チョ・ウンソク)特別検察官チームは6日「外患容疑」を除外して尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対する拘束令状を請求したが、これについて法曹界からは「尹前大統領の身柄を確保した上で、外患容疑の捜査を本格的に行うのだろう」との見方が相次いでいる。特検チームは同日、尹前大統領の拘束令状を請求する際「身柄を拘束されない状態だと追加の容疑に対する証拠隠滅などの懸念がある」と強調した。
■職権乱用や公文書偽造などを記載
本紙は同日、特検が請求した尹前大統領の拘束令状を入手した。令状には職権乱用、公文書偽造、特殊公務執行妨害などの容疑が記載されている。職権乱用容疑は昨年12月3日の非常戒厳令宣布直前の国務会議(閣議)に韓悳洙(ハン・ドクス)元首相と国務委員(閣僚)9人だけを呼び、会議に出席できなかった残り9人の国務委員の審議権を妨害したという内容だ。また尹前大統領は十分な審議をせずわずか5分で戒厳令宣布を一方的に通告し、出席した国務委員らの審議権も妨害したと特検は考えた。
戒厳令宣布後、韓国大統領室の広報担当職員らが「非常戒厳令は正当」という趣旨で国内外のメディアに広報を行ったが、これについても特検は職権乱用容疑に含めた。韓国大統領室海外広報秘書官室は戒厳令から2日後の12月5日、「戒厳令は正当」とする趣旨の文書をAP通信、CNNテレビ、読売新聞など外信各社に配布したが、戒厳令に対する海外の否定的な世論を抑え込むため尹前大統領が職権を乱用し、職員らに本来義務のない仕事をさせたと特検は考えたのだ。
特検は「事後に非常戒厳宣布文」を作成し、その廃棄にも尹前大統領と韓悳洙元首相らが関与したと考え、公文書偽造・大統領記録物法違反・公用書類損傷などの容疑も適用した。尹前大統領が高位公職者犯罪捜査処(公捜処)による逮捕状執行を妨害した容疑(特殊公務執行妨害)、さらに戒厳令直後に警護処に秘話フォン(盗聴防止機能付き携帯電話)サーバーの削除を指示した容疑(職権乱用教唆)なども令状に記載された。身柄拘束が必要な理由としては▲証拠隠滅▲再犯のリスク▲逃亡の懸念▲犯罪の重大性―などが記載されていた。
特検は令状に、尹前大統領が今年1月11日にキム・ソンフン次長ら警護処幹部らと昼食を取った際「逮捕状執行のために警察特攻隊や機動隊が入ってくるようだが、彼らには銃を撃つ実力もない。銃の扱いは警護官の方がはるかに優れている。警察はお前たち(警護官)が銃を見せるだけで怖がるだろう。銃を持っていることを見せよ」と述べたと指摘し、いわゆる「威力警護」を行うよう指示したとも記載した。