米軍の群制御に中国軍はAIで対抗、台湾有事に備える米中ドローン「地獄図戦略」

台湾有事の際のドローン戦略を組む両国

 米国が中国の台湾侵攻に備えるために考案した「ドローン・ヘルスケープ(hellscape・地獄図)」戦略に対抗し、中国側はドローン対応専門部隊の創設を推進していることが分かった。米インド・太平洋軍(INDOPACOM)のヘルスケープ戦略は、台湾海峡で中国軍が突発攻撃を敢行した場合、数千機のドローンや無人潜水艦・水上艇を投入して中国軍の戦闘力を消耗させ、米軍の増援の時間を稼ぐ―という構想だ。戦略の名称は、挑発を行ったときは地獄(hell)のような風景(landscape)に直面するだろう、という警告の意味を持つ。米国は2022年に中央情報局(CIA)が、中国の台湾侵攻の可能になる時期を「27年」と推定した後、台湾海峡問題への軍事対応戦略を構築しているが、これに中国が軍の体系改編まで推進しつつ「中国版・地獄図戦略」で対抗している格好だ。軍事専門家らは、台湾海峡は伝統的な武力衝突の戦場にとどまらない、ドローンとアルゴリズム(コンピューターの処理手順)が主導する新たな戦場になるだろう、と予測している。

【全長2センチ・重さ0.3グラム】中国製の超小型ドローン

 中国軍の機関紙「解放軍報」は、7月3日付の「ドローン対抗戦で未来の戦争の姿を変える」というタイトルの記事で「ドローンが戦争の主役に浮上したことに伴い、相手のドローン戦略をコントロールして抑制するための作戦体系の調整が必須」と伝えた。その上で、軍の専門家らの話を引用して「ドローン対応部隊の創設で、既存の戦闘部隊のドローン対応力を統合できるようにすべき」とした。中国軍は2016年初めに、小型無人機を探知して無力する任務を付与した特殊部隊を空軍に創設したが、陸上・海上戦闘などに投入可能な専門的なドローン部隊は作られなかった。香港紙「サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)」は7月7日、「中国当局が米国のヘルスケープ戦略を認識し、本格的に動いている」と分析した。

 ウクライナ戦争でドローンが戦線を拡大する役割を果たしたとするなら、台湾海峡で起きる戦争は、初期段階からドローンが前面に登場する初の大規模戦争になるだろう、と見込まれている。米国のヘルスケープ戦略によると、中国軍の艦隊が台湾海峡を渡り始めるや、数千機の米軍のドローンが陸海空を覆い、1次防衛線の役割を果たすことになる。現在、INDOPACOMの米軍兵力は37万5000人の水準であるのに対し、中国軍は200万人に達する。INDOPACOMのサミュエル・パパロ司令官は「われわれはヘルスケープ計画に基づき、彼ら(中国軍)の暮らしを1カ月間、完全に悲惨なものにすることができ、われわれがほかの仕事をする時間を稼がせてくれるだろう」と語った。INDOPACOMでは、米軍の無人戦闘能力は「非対称的な優位」をもたらすだろうとみている。

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