違法タクシー「黒車」韓国上陸、仁川空港で中国人団体客相手に一人勝ち

中国人観光客の増加で「違法ワゴンタクシー」も急増

 仁川空港内の合法なワゴンタクシーは乗車人数に関係なく、1回の乗車につきソウルの麻浦区弘大エリアまで7万4000ウォン(約7800円)、中区の明洞・乙支路・南山までは8万ウォン、江南区狎鴎亭までは8万6000ウォンとなっている。ワゴンタクシー協会が地域ごとの運賃を定めて提案し、それを国土交通部が審査・承認する仕組みだ。しかし、中国人の違法ドライバーや、その違法ドライバーたちに仕事をあっせんする旅行会社は、最大で正規料金の3-4倍の運賃を受け取っていることが確認された。中国の旅行会社が「仁川空港からソウル市中心部までの送迎サービス」として自社ホームページに掲載している運賃は、20万-30万ウォンに達していた。

 中国人の団体観光客は、ホテルに加えて空港と市内を往復する交通手段まで含まれた「パッケージ商品」を選ぶため、自分たちが乗る車が違法ワゴンタクシーなのか、価格が異常に高いかどうかなど、分からないケースがほとんどだ。ソウル地域のある警察官は「取り締まりをすると、中国人観光客たちは『違法と分かっていたら乗らなかった』と話す」とした上で「中国語が通じて楽だからという理由で、高額なのを承知で違法ワゴンタクシーを利用したという人もいる」と話した。

 中国発の「黒車」のドライバーが増える中、正式に登録した合法ワゴンタクシーを運行する韓国人ドライバーたちは「ついにワゴンタクシーの営業まで中国人に奪われ始めた」と嘆く。ワゴンタクシーのドライバーになって10年目だというキム・ナムシクさん(50)は「中国人を客として乗せたのがいつだったか、しばらく乗せていないから思い出せないほどだ」「これから中国人観光客がさらに増えたとしても、中国の違法タクシーが全部奪っていくだろう」と話した。

 しかし、警察の取り締まりは日に日に困難になっている。旅行の前にウェブサイト上で予約が行われる上に、中国のメッセンジャーアプリ「微信(ウィーチャット)」などでドライバーと観光客が直接連絡を取り合っており、違法運行の現場をキャッチするのが難しいからだ。仁川警察庁は今年4月から先月30日まで、違法ワゴンタクシーに対する特別取り締まりを実施した。仁川警察庁の関係者は「現場で取り締まっても『友人を迎えに来た』『旅行会社のガイドだ』と言われると、それ以上の捜査は難しかった」と話した。イ・スンギ弁護士は「違法で営業している車は乗客用の保険が適用されず、事故が起きた場合にも被害の立証や補償の請求が難しい」と説明した。

キム・ドギュン記者

【写真】中国人団体客を乗せる違法タクシー「黒車」

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