「パイロットはランディングギアを下ろそうともしないまま胴体着陸」 務安空港事故中間調査結果

新たな局面を迎えた事故原因調査

 パイロットらは鳥の群れと衝突した直後、「(損傷が激しい)右エンジン(2番エンジン)を切ろう」と言った。同機の運航マニュアルでは、エンジンがひどく損傷した場合、エンジンを切るようになっている。しかし、ブラックボックスやエンジンを分析した結果、実際に電源を切ったのは右ではなく左エンジン(1番エンジン)だった。このため、左エンジンの出力はもちろん、左エンジンから出る電気と油圧システムがすべて不通になった。

 ところが損傷がひどいために当初切ろうとしていた右エンジンは一部作動していたという。事故機が滑走路に胴体着陸を試みた時、低圧タービンがかなりの速度で回転していたということだ。事故機はエンジン故障後、空港から4-5キロメートル離れたところまで飛行したとされているが、右エンジンが一部作動してこうした飛行が可能だったということだ。ボーイング737-800機種はエンジンが1基正常に作動している場合、事故を起こすことなく飛行・着陸することができる。

 「パイロットのミス」が事故原因の一つに挙げられたということで、チェジュ航空が非常時の場合のパイロット訓練を十分に実施していたのかや、パイロットの疲労度が適切に管理されていたのかなどを事故調査委員会が今後、重点的に点検するとの見方が出ている。

 一方、遺族らは「パイロットのミスの可能性がある」という事故調査委員会の調査結果内容について、「務安空港滑走路の端にあったコンクリート製の土台や鳥類警報の適切性など多くの問題があるが、パイロットの過失だけを浮き彫りにしている」として強く反発している。遺族側は本紙に「コンクリート製の土台がなかったら、事故機が衝突して爆発する状況にまでは至らなかっただろう」と語った。

 韓国の他のパイロットたちも強く反発している様子だ。民間航空機パイロット代表団体の韓国民間航空操縦士協会(ALPA-K)は21日、事故調査委員会の調査内容について、「パイロットに責任を転嫁しようとする試みだ」と批判する声明を発表した。同協会は「事故調査委員会は事故の複合性やシステム全体の失敗という本質を無視している」「パイロットをいけにえにしようという方向性に基づいた、歪曲(わいきょく)された結論だ」と主張した。

郭来乾(クァク・レゴン)記者

【写真】最後の瞬間まで飛行機を止めるために奮闘していた機長

前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲昨年12月29日、全羅南道務安郡の務安空港で、チェジュ航空の旅客機が胴体着陸を試た時の様子。当時、ランディングギア(降着装置)なしで滑走路の地面と接触し、機体の下から火花が散った。写真提供=読者
  • 「パイロットはランディングギアを下ろそうともしないまま胴体着陸」 務安空港事故中間調査結果

right

あわせて読みたい